コロナ禍の子どもの絶対的貧困 母子世帯子どもの体重が減った割合が10%

(写真:アフロ)

 私たちしんぐるまざあず・ふぉーらむは昨年来、食料支援をひとり親世帯に届け、現在毎月2300超の世帯を支援している。と同時に2020年7月より、私たちしんぐるまざあず・ふぉーらむと、ジェンダー政策の専門家、研究者らによって発足したシングルマザー調査プロジェクトは、1816人のシングルマザーに対する大規模調査に続き毎月約500人のシングルマザーにパネル調査を実施し、仕事や生活の状況、子どもの状況を聞いてきた。 (シングルマザー調査プロジェクト

 このたび同プロジェクトは「こどもの日に寄せて コロナ禍におけるひとり親世帯の子どもの状況」を発表した。コロナ前から相対的貧困率が先進国の中で最悪だった日本のひとり親世帯。就労率は高いものの約半数は非正規で働いてきたシングルマザー。それはコロナによって大きな打撃を受けたのであった。

 新型コロナの感染は変異株の予想以上の拡大により、いつ収束するのか先が見えない状況である。

 コロナによる一斉休校から1年が経った。その後の子どもたちの暮らしはどうなっているのだろうか。こどもの日に寄せて、日頃目を向けられない、シングルマザーと子どもたちの状況について報告したい。もはや、これは、相対的な貧困ではない。絶対的な貧困が広がっている。

 米などの主食が買えない世帯が3~4割

 母子世帯の場合、収入が減って真っ先に削るのは食費である。肉・魚や野菜を買えなかったことがあった、時々あった人の割合は 半数以上(肉・魚)、半数弱(野菜)であったが、米などの主食を買えないことがよくあった、ときどきあった割合が東京で30.6%、東京以外で41.6%であったことである。

 こんな声が聞こえてくる。

・家賃、光熱費、ローンなど、先に払わないと困るものを優先すると、食費や、病院代、学校で使うものを後回しや削るしかなくなってます。〔東京以外・9月調査〕

 わたしが所属するしんぐるまざあず・ふぉーらむでは、毎月送るパッケージを受け取った人からは「米も無くなり困窮していたので本当に助かりました」といった声が届いているのである。この人たちはどう対処しているかというと、ときに、安い麺類小麦粉のお焼きなどをつくっているという声が届くことがある。

体重減の子が10%弱

 さらに、小学生の子どもがいる親に、「小学生のお子さんのことで、気がかりだったことはありましたか」という回答で「体重が減った」と答えた人の割合を報告する。この割合は東京では8月9月に10%を超えていたが、いったん減り、今年の2月にも、東京では9.3%と大幅に増加に転じてしまった。

 なぜ増えてきたのだろうか。進学入学の準備は家計を圧迫する。なんとか自力でがんばろうとすると食費を減らす道しかないと思われる。とすれば、3月、4月はこれよりも深刻な数字が出てくると予想できるのである。

 この問いは母親に聞いているものであり、子どもの体重減を親が認識できるほどだったということになる。

 小学生の体重は一貫して右肩上がりになるのが通常である。小学生の体重減は虐待などを疑われるという医師の声もある。コロナの感染拡大の折に、シングルマザーの10%弱の子どもに体重減が起こっている、重大な状況ではないだろうか。

 そのほか、子どもの服や靴、玩具・文具を買えなかったことがよくあった、ときどきあった割合はそれぞれ7割近く、また5割弱となっていたのである。

学習についていけていない子どもたち

 小学生の子どもたちの状況で気になることはそれだけではなかった。

 学校の学習についていけていないと答えた親は2月に東京で5割弱、東京外で3割いた。

 学校の学習についていけない小学生は3割超、学校に行きたがらなくなった、行かなくなった小学生は2割超いた。また習い事をさせてあげられない状況の小学生は約6割だった。

 学校に行きたがらない、学校に行けないという子どもたちも出てきている。

・勉強には付いて行けないし塾とかにも通わすのは金銭的に難しい〔東京以外・12月〕

・自分は勉強が人より遅いことや、学校で良く注意されること、友達とのゲームに負けるなど、家に帰ると価値のない人間だといじけるようになった。〔東京・1月〕

・初めて自分から習わせてほしいという習い事があったが我慢してくれた〔東京以外・3月〕

12万5000円(月)以下の収入が4割

 こどものこのような状況は、ダイレクトに親の経済状況を反映している。コロナにより、約4割以上のシングルマザーが7月以来長期的に収入を減らしている。月々12万5000円(税込み)以下の収入で暮らしているシングルマザーの親子は東京でも5割となる。

 毎月毎月収入が不足し、お金が不足している状況が続いているのだから預貯金が減り続けている。預貯金が10万円以下、という世帯は東京でも3割を超え増加している(東京以外では4割)。滞納は増える。暮らしは追い詰められているのだ。

 もう命を継続するのが大変な事態であるといってもいいのではないか。

給付金は子どもたちの生活に使われていた

 こうした状況を受けて、政府は手をこまぬいていたわけではない。

 これまでに国民全員に給付した「特別定額給付金」のほかにひとり親世帯臨時特別給付金を2020年8月(9月)と2020年12月、2回にわたって給付してきた。

 12月のひとり親世帯臨時特別給付金がいかにやくだったかは以下のデータをみるとわかる。

12月のひとり親世帯臨時特別給付金の使途
12月のひとり親世帯臨時特別給付金の使途

 ひとり親世帯臨時特別給付金は月々の生活費の支払い(東京72.4%、東京以外69.6%)や子どもの学用品や子どもの費用(東京59.9%、東京以外58.2%)、「月々の家賃や住居費の支払い」(東京37.3%、東京以外31.0%)に最も多く使われています。また年越しにかかる費用にも(東京52.5%、東京以外52.7%)約半数が役立てたと答えている。

 こうした給付金なしには住まいに住み続け、生活をつなぎ、子育ての費用を払う、そういう子どもとの生活を維持することは不可能だったことがわかる状況である。

子どもの絶対的な貧困に直面

 日本の貧困は、食べるものに困るような絶対的貧困ではなく、相対的な貧困である、と言われてきた。しかしコロナ拡大によって低所得世帯の子どもたちに出現しているのは絶対的な貧困ではないか。

 ひとり親世帯、140万世帯のうち、少なくとも約10%の14万世帯は、子どもが十分に食べて体重を増やせる状況ではないと推測される。

 昨年の特別定額給付金、そしてひとり親世帯臨時特別給付金(2020年8月など)、12月の同再支給に感謝の気持ちは尽きない。それがなかったら、多くの命が危険にさらされたことは間違いないだろう。

 今は、企画されている二人親世帯も含む低所得の子育て世帯への生活応援給付金の支給が待たれている。一刻も早い支給が待たれる。なぜなら、生活が苦しいのは、ひとり親世帯だけでなく、二人親世帯にも及んでいるからである。

 また緊急小口資金の特例貸付や住居確保給付金などの再延長や生活保護制度の緩和(親族照会の停止や車の保有を認めるなど)も必要となる。

 この連休にも助けを呼ぶ声が届く。給食がない1週間がどれだけつらいものなのか、食に足りている人々が想像できるだろうか。

 「おなかいっぱい食べさせてやれない、いつもお腹空いたと言われるのがつらい」というシングルマザーの声が届く。

 フードバンクでもない一支援団体、しんぐるまざあず・ふぉーらむは、昨年3月以来、110トンの米をのべ約10万人、2万数千世帯へ送ってきた。助けを求める声に対応する、それ以外の道がなかった。近くにこども食堂がないあるいは休止している、フードパントリーに取りにいけない世帯は多いのだ。北海道から沖縄にまでお送りしてきた(この4月から北海道と沖縄の世帯へは現地団体を通じてのご支援とした)この事業にご協力くださった企業、個人の方々には深く感謝している。

 しかし、このまま助けを呼ぶ声に対応していた場合に、継続ができるのだろうかという不安がよぎる。さらなる応援の寄付をお願いしたい。

 と同時に公的支援の充実が望まれるのである。

※補足:NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむは就労支援に力をいれ、ITスキル支援「わたし耀く」でITスキルを身に着けていただき転職をする応援をしているとともに、ITスキルがあまりない方向けの「スマイルアップ」という支援事業も開始する予定。さらに企業と連携した就労支援プログラム「未来への扉」、「明日に花咲く」を開始予定であり、シングルマザーが自分の手で就労収入を上げる支援には食料支援と同じように力を注いでいる。さらに政府も今年度ひとり親の就労支援を拡充している。こうした就労支援は重要だが、いま食べられない子どもたちには別の援助が必要である。