3万人から税金取り過ぎの大阪市 最高裁敗訴で返還額3倍に膨らむ可能性高まる

2月の最高裁弁論後に勝訴を確信し笑顔を見せる原告弁護士。左は大阪市側(筆者撮影)

 大阪市は約3万人から固定資産税を取り過ぎていたとして総額約16億円を変換すると2月に発表したが、20年以上前の建物には賠償責任が及ばないと主張してきた。その市の主張を覆す判決が24日、最高裁で出され、大阪高裁で裁判がやり直されることになった。やり直しの裁判で市が敗訴した場合、返還額は当初試算の3倍の40億円から50億円ほどに達すると原告側は見ている。

 大阪市は1978年から2004年までの間に建てられた市内のビルに対し、国の規準とは別の独自の規準に基づき固定資産税を課税してきた。これに対し市内の建物所有者が「税金の取り過ぎだ」と賠償を求めて裁判を起こし、最高裁まで争った結果、独自規準の違法性が認められて市の敗訴が確定した。これを受けて大阪市は2月、同様の規準で課税された建物が約6000棟あるとして、約3万人の所有者を対象に総額約16億円を返還すると発表した。

 ところが同じように独自基準の固定資産税を巡り大阪市を訴えた裁判はもう1件あり、こちらは一審二審で原告の訴えが退けられている。それは、この建物が建てられて最初に固定資産税が算定されたのが20年以上前だったため、「除斥」という民法の規定に基づき請求権はなくなったという市の主張が認められたからだ。これに対し原告は「固定資産税は完成時だけではなく毎年課税されるのだから、そのたびに違法な規準に基づく不法な課税が行われており、除斥は適用されない」として最高裁に上告していた。

 この裁判の判決が24日、最高裁で出され、第三小法廷の宇賀克也裁判長は、固定資産税の除斥は毎年の課税時を起算点とすべきだという原告の訴えを認め、市の主張を退けた。その上で、原告の主張に基づき、固定資産税が過大に課されていたかどうか審理をやり直すべきだとして、元の判決を破棄し、裁判を大阪高裁に差し戻すよう命じた。

最高裁の判決に大阪市はどう応えるか(撮影・相澤冬樹)
最高裁の判決に大阪市はどう応えるか(撮影・相澤冬樹)

 大阪市が2月に発表した返還額は、20年以上前に建てられた建物には除斥が適用されることを前提にしている。差し戻しの裁判では原告の勝訴が予想され、そうなると20年以上前の他の建物にも同様の返還を行わざるを得なくなる。原告側の試算では、その総額は40億円から50億円と当初試算の3倍前後に達すると見られる。

 判決を受けて原告側代理人の伊藤勝彦弁護士は次のようにコメントした。

「還付(返還)を待つまでの間も除斥期間は進んでいることに注意が必要です。2年待たされた結果2年分が除斥期間で消滅してしまったということであれば納税者が気の毒です。当然のことながら還付には遅延損害金の加算も必要です。20年の間に売買や相続などによって所有者が変わることもあるでしょう。各年度に固定資産税を納付した方が払い過ぎ分の還付請求ができます。

 今回の判決を通じて、適正な課税が実現し、納税者間の公平が保たれることを期待します」

 大阪市は今回の最高裁判決を受けてどのように対応するのだろうか?いずれにせよ厳しい対応を迫られるものと見られる。

【執筆・相澤冬樹】