安倍昭恵さんと籠池諄子さん “女の友情”は今

森友学園を訪れた安倍昭恵さんと後を歩く籠池諄子さん(14年4月・画像一部加工)

 森友学園の籠池夫妻が、安倍首相の衆議院大阪12区補欠選挙の街頭演説に姿を見せた時の4月20日の記事は大きな反響があった。森友事件が解明されないままになっていることへの不信感の広がりを示しているのだろう。

 この事件の本質は国有地の不当な値引き売却にある。その土地には森友学園の小学校が建てられる計画で、名誉校長には首相夫人の安倍昭恵さんが就任していた。森友学園と安倍首相を結ぶ鍵として、昭恵さんの存在は欠かせない。

 そして学園と昭恵さんを結ぶ鍵は理事長夫人(当時)の諄子さんだった。昭恵さんが電話してくるのは、ほとんど諄子さんの携帯だったという。

 安倍昭恵さんと籠池諄子さん、2人の関係はどのようなものだったのか?そして今は?

初対面で4時間も話し込んだ昭恵さん

籠池夫妻と初めて会った安倍昭恵さん(14年3月撮影)
籠池夫妻と初めて会った安倍昭恵さん(14年3月撮影)

 この写真は5年前、昭恵さんが初めて籠池夫妻と会った時のものだ。都内のホテルにある料亭で、籠池夫妻が個室を借り切って3人で会食をした。昭恵さんは午後6時ごろ店を訪れ、初対面にもかかわらず話がはずみ、そのまま4時間も話し込んだという。

 夜10時ごろになって、安倍首相から昭恵さんに電話がかかってきた。「これはあかんな。そろそろ切り上げなければ」と感じた籠池夫妻が、「お開きにしましょうか」と切り出すと、昭恵さんは床の畳に座って両手をついて深々と頭を下げ、「きょうはありがとうございました」とお礼を述べたという。

諄子さん)いい人なんやなあと思いました。私は最初は引いてたところがあったんですよ。相手は首相夫人ですし、最初からなれなれしくできない。でも、私の知り合いの娘さんが昭恵さんの秘書(首相夫人付きの政府職員)をしていた関係で、事前に昭恵さんも私のことを聞いていたから、話がはずんだんだと思います。

 最初は「昭恵先生」とお呼びしていたんですけど、あちらから「昭恵さんと呼んでください」と言われたんで、それから「昭恵さん」と呼ぶようになりました。

 なぜか波長が合ったんですね。「お互いぶっ飛んでるから気が合ったんだ」と知り合いにからかわれます。初めてお会いして、1か月後には幼稚園に講演に来て頂いて、小学校の予定地だった国有地を見に行きました。それからだんだん心が開いていって、たびたび電話がかかってくるようになりました。話しやすい人だと思いました。携帯のメッセージもたびたび来ましたよ。学園での講演には3回来てもらいましたし、関東地方の知事さんの会合に参加している時に「ここにいます」と私たちを呼んで、会合を抜け出して会ってくれました。その時に昭恵さんにあいさつしてきた女性を「(千葉県知事の)森田健作さんの奥さんですよ」と教えてくれました。そうやってどんどん親しくなっていって、ほんとによく話をしました。本音を言って頂いていたかなと感じています。

とりとめもない話をいつまでも

学園の園児に手を振る昭恵さんと、見守る籠池夫妻(14年4月・画像一部加工)
学園の園児に手を振る昭恵さんと、見守る籠池夫妻(14年4月・画像一部加工)

相澤)電話ではどんな話を?

諄子さん)とりとめもない話ばかりですよ。仕事の話はお父さん(泰典さん)がしますから、私は何ということない話題ばかり、いつまでも。だからどんな話をしていたかと聞かれてもねえ。

 そうそう、「今、首相公邸でみつばちを飼ってるの」と言われたことがありました。驚いて「お世話できる時間があるんですか?」と尋ねたら、「自分で網をかぶってお世話をしてます」と話していました。

 小学校のことも話題になりました。「きょうは衆議院議員の妻の集まりでした。そこで籠池さんの学校のことを話しておきましたよ」と言われたことがあります。

 ご自分の居酒屋の話も出ましたね。「お店では無農薬の有機野菜を使っているんですよ」という話をしていました。値段を聞いたら、ちょっと高いなと思いましたけど(笑)。

相澤)UZU(うず)という居酒屋ですね。

諄子さん)学園での講演でもこのお店の話が出たんですよ。「居酒屋を作るのに、赤字になったらやめるという約束で主人(安倍首相)に受け入れてもらって、ローンを組んで店を開いた」という話をされました。

 昭恵さんは食にこだわりがあるんですよ。自分の田んぼで作ったというお米を頂いたことがあります。ほかにもはちみつや、(安倍首相の選挙区がある)山口県のわかめのふりかけとか。もらいっぱなしでは申し訳ないですよね。心斎橋に昆布のいいお店があるんで、昭恵さんに「安倍首相は昆布を食べますか?」と聞いたら「好きですよ」と返事があったので、昆布を買って送りました。昭恵さんの名刺の裏に自宅の住所があったので、そちらへ送りました。

「政治家は大変」「子どもがほしかった」

相澤)安倍首相の話は出ましたか?

諄子さん)時々ありましたね。「ご主人(安倍首相)は家で何をしてるんですか?」と聞いたら、「毎日映画を見ています。12時頃寝るんですよ」と話していました。

 それと、印象に残っているのが安倍首相のお父さんの晋太郎さんの話ですけど、がんになってやせていたから、選挙の時、奥さんが背広に綿を入れて大きく見せたという話をしていました。そして「政治家は大変なんです」と言われたことをよく覚えています。

相澤)ほかにプライベートなことは?

諄子さん)1回だけ、「子どもがほしかった」ということを話されたことがありました。それ以上はあまり言われませんでしたけどね。私は、自分の息子が小学校の時にいろいろあって大変だったという話をしたことがあります。お互いに結構、踏み込んだ話をしましたね。

名誉校長に乗り気だった昭恵さん

相澤)昭恵さんは小学校の名誉校長に就任していましたが。

諄子さん)昭恵さんは自分で小学校を建てたかったんだと思いますよ。講演で学園に来たときに「今の学校の教育はねえ」と不満を話されていました。確かミャンマーで小学校を建てるという話もしていましたし、加計学園の理事長も一緒だと話していました。

 お父さん(泰典さん)が昭恵さんに小学校の図面を見せて、「1階のここが校長室、その隣の同じ広さの部屋が名誉校長室です」と説明したら「ああ、ありがとうございます」と喜んでいました。名誉校長をすることに乗り気だったんですよ。

名誉校長辞任後の電話で2時間話したこと

相澤)国有地の値引き問題が明らかになって、昭恵さんが名誉校長を辞任したあとも、電話がかかってきたと以前にお聞きしました。2時間話していたこともあったそうですね。何をそんなに話していたんですか?

諄子さん)あれは鴻池さん(当時参議院議員)が記者会見した時に(籠池氏が渡そうとした封筒を現金だと思ったという内容)安倍首相がどういうことなのか知りたがっているということで電話がかかってきて、いったんお父さん(泰典さん)に代わったんですけど、その後、私とずっととりとめもない話をしていたんです。いつもそんな調子。だから何を話したか覚えてません。2人で話していたら話題が尽きないんですよ。

 …ああ、そういえば1つ思い出した。「自民党の中でも主人(安倍首相)をよく思わない人はいっぱいいますから」って話してましたね。いろいろあるんだろうなと思いました。

昭恵さんと諄子さん、2人の関係は?

相澤)一度はともに小学校の設立をめざした間柄ですよね。昭恵さんのことをどう思っているんですか?

諄子さん)信頼関係というか、友情があると思っていました。昭恵さんも私のことを悪くは思っていないと思いますよ。安倍首相を守るために何も言えないということなんでしょう。

相澤)今はやりとりはあるんですか?

諄子さん)ありません。おととし(2017年)の3月に電話してきたのが最後。それっきりありません。

相澤)昭恵さんの電話番号は今もご存じですよね。かけてみようと思ったことはないんですか?

諄子さん)ありません。電話もメッセージもしません。何も言えない相手に電話をしても仕方ないでしょう。私も言うことはありません。そっとしておくしかないんです。

◇ ◇ ◇

 安倍昭恵さんと籠池諄子さん。首相夫人と森友学園理事長夫人(当時)の間には、ある種の“友情”が成り立っていたのかもしれない。もしかしたら今も。