下水道事業の挑戦2:海外で果敢に進むインフラ整備。そこで展開される先進事業から活路を見出す

(写真:アフロ)

 気候変動や自然災害の影響を受け、2016年には熊本地震や北海道及び東北の台風、2017年には九州北部の集中豪雨による大規模な被害が発生している。自然災害が続くなかで、2017年度の補正予算および2018年度の予算では防災、減災に多大な額が投じられている。災害費と並んで、道路・河川管理施設等の老朽化対策への戦略的維持管理・更新にも多くの予算が計上されている。道路には3,683億円(+225億円、+6.5%)、河川管理施設には1,986億円(+35億円、+1.8%)の予算である。

 2018年度予算では、社会資本整備総合交付金及び防災・安全交付金の交付要件に広域化・共同化の事項が新たに追加された。その内容は2022年度までに全都道府県に、広域化・共同化に関する計画を策定することを求めている。たとえば施設・処理区の統合、維持管理業務の共同化、下水汚泥の共同処理、ICT活用による集中管理等が挙げられる。

 このような追加要件が提案された背景には、諸外国の事例からヒントが得られる。海外では生活インフラ事業はもちろんこと、下水道事業においても新たな挑戦が続いている。国内の水道事業を振り返ると、その水道普及率は98%に達し、汚水処理人口普及率も90%を超えている。今後未普及の解消にあたるとしても、将来の地域人口を見据えたうえで、最も効率的な運営手法が求められている。その活路を諸外国から学ぶことができる。

 欧州の動向をみると、EUでは「水政策分野における共同体活動枠組」のEU指令第9条で「加盟国は、(中略)汚染者負担の原則(the polluter pays principle)に従って、水サービスに係る費用回収原則(the principle of recovery of the costs of water services)を考慮しなければならない。」としている。なかでもフランスでは、「Water pays for waterの原則」を掲げ、水道事業に収支均衡を原則としている。地方公共団体総法典において上下水道サービスに対して「市町村によって公団、アフェルマージュ、コンセッションで運営される商工業的性格の公共サービスは、収支均衡していなければならない。(L2224-1条)」と規定し、下水道事業体の過半数が包括的に民間委託されている。とくにコンセッション及びアフェルマージュ等の方法が主流となり、委託先として公営が47%を占めるなかで、民間事業者にはVeoliaが21%、Suezが21%、Saurが10%を占有している。

 包括的な民間委託の方法には、図表で示すようにいくつかの方法がある。コンセッションとは民間事業者が整備・運営・料金徴収を一括して実施する方法である。アフェルマージュとは整備は公共事業とするものの、運営・料金徴収は民間事業者が対応する。レジー・アンテレッセとは、整備・料金徴収は公共事業で行うが、運営は民間事業者とする。公共ジェランスとはレジー・アンテレッセより民間事業者の裁量が縮小する方法である。

図表 民間活用の種類

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出典)日本政策投資銀行(2016)「フランス・英国の水道分野における 官民連携制度と事例の最新動向について」

 実際に行っている地方自治体には、図表で示すように、バルセロナがコンセンション方式をとり、ボルドーがアフェルマージュ方式を採用している。カンヌにおいては、施設処理はコンセッション方式をとるものの、管渠においてはアフェルマージュ方式を採用する。たとえば、人口24万人であるボルドー市ではアフェルマージュ方式を採用しているが、27のコミューン(基礎自治体)で広域化を実施し、処理人口には約70万人を抱えている。上下水道事業の運営を委託された民間事業者のSuezの独自のノウハウを用いて、雨水及び汚水の処理・管理に、ICTを活用してコントロールセンターで集中的に実施する。この方式をダイナミック・マネジメントシステム(RAMSES)という。全20か所の浄水場及び管路については、水質や浄水処理等を一元的に管理し、管路については10kmごとに各セクターをおき、その出入口にはセンサーを設置して漏水状況を把握する。

 フランスの動向に対して、日本で包括的に民間委託を導入している事業体は僅か全体の18%にとどまっている。静岡県浜松市では、国内初の下水道事業のコンセッションが行われている。具体的には、終末処理場及びポンプ場の改築・維持管理を20年間のコンセッション方式を導入している。それによって改築・維持管理費について、約14.4%のコスト削減効果を算出している。山形県新庄市では、NTT回線を利用し周辺市町村の処理場と維持管理業務を共同化することで人件費等の削減を行い、それによって約14%のコスト削減を概算している。

 このように事業の広域化・共同化、コンセッションをはじめとするPFIの導入によって、経営の効率化を図り成果を出した地方公共団体が出てきており、それら事例を参照して横展開が求められている。フランスでは広域化やコンセッション方式が一般化し、水メジャーを生み出し、次なるステップとしてICTを活用した管理システムを導入することで経営の効率化を図ろうとしている。我が国も他国の動向を参考に出遅れることなく、インフラ・ビジネスを拡大し、国際競争力の強化を図ることが重要であろう。