人口減少社会を見据えた保育サービス1:待機児童の救世主としての保育コンシェルジュ

待機児童の救世主である保育コンシェルジュ

表1 全国の保育コンシェルジュ
表1 全国の保育コンシェルジュ

印象的なキャッチフレーズで、共働きの子育て世代の社会的流入に力を入れる自治体が増えている。その一つに、「保育コンシェルジュ」を立ち上げた神奈川県横浜市、福岡県福岡市。東京都武蔵野市。少子化による人口減少という警鐘が鳴らされるなかで、「子育てのまち」のイメージの定着を目指し、人口の増加を図ろうと、保育の充実に力を入れる自治体が増えている。

働く親に寄り添ったサービスの提供

図1 保育サービス
図1 保育サービス

近年待機児童問題が社会問題にまで発展し、保育所の新たな増設と定員数の増加による保育サービスが拡充。それだけでは、働く保護者は自分の望むサービスを手に入れるのは難しいかもしれない。なぜなら、サービスの種類も内容もさることながら、名称も多岐多様、様々なサービスが提供されているかもしれないが、そのサービスを利用者である保護者はどこまで把握しているだろう。

利用者が自らが進んで情報を入手するのは至極当然かもしれない。だが、子育てをしながら、家事と仕事をする保護者。もしかりに出産の間際まで働いていたら。そして出産後には育児に時間を投じざるおえない状況であるのなら。情報の入手をするのも難しいかもしれない。また、それによって、待機問題が生じているのなら、自治体は情報の提供を行うのも有効な手段であろう。

2011年6月全国に先駆けて神奈川県横浜市では保育コンシェルジュを立ち上げた。翌年には待機児童が8割以上に減少、翌々年には待機児童ゼロを実現した。神奈川県横浜市では図1で示すように様々な保育サービスを提供している。工夫されたきめ細かい保育サービスがあるにもかかわらず、利用者には情報が伝わりにくく活用されていない。

そこで横浜市では、全ての区の子ども家庭支援課に、保育コンシェルジュをおいた。保育コンシェルジュは、とくに、資格が求められているわけではない。非常勤嘱託職員が中心となって保育サービスを紹介している。保育士の資格をもった職員が対応している区もあれば、子育ての経験をもつベテラン職員が就いている区もある。主なサービス内容は、保育サービス等の利用に関する相談業務、保育所に入所できなかった方へのアフターフォロー業務、そして保育サービス等の情報収集業務がある。

子育て仲間をみつけるにはどこにいったらいいの。子どもの具合が悪くなって一時的に見てくれる人が必要な場合はどうしたらいいの。仕事に出たいけれど子どもを預けられる保育所はどこにあるの。相談内容は多岐にわたる。利用者のそれぞれの事情を聞き、適切な情報を探し、ニーズに合ったアドバイスをし、必要な手続きを行う。職員は日々奮闘しているという。

求められる境を超えたコンシェルジュの知識

保育コンシェルジュは、保護者から勤務時間や収入などを聞き取り、適したサービスを紹介する。人気が高い認可保育所だが、保育料は所得に応じて決まる。認可保育所に空きがない場合。市が補助金を出している認可外保育所の一時預かりや、幼稚園の預かり保育を利用することができる。保育料はほぼ同じ費用で済む。相談に適した保育所に空きが出れば、連絡するだけでなく、保育コンシェルジュは費用面のアドバイスも求められる。各区の子育て支援課を窓口に、相談の受け付けは、平日は午前9時30分~午後17時00分の間で予約もできる。

保育コンシェルジュが求められる知識は保育サービスだけではない。幼稚園サービスも管轄に入る。幼稚園には、所得に応じて保育料の一部が返ってくる制度がある。さらに、働く両親に提供される保育サービスには、私立の認可外保育所も入ってきている。ベテランの保育士であろうとも、そのような知識を持ち合わせていない可能性がある。制度が変化し複雑になるにつれて、自治体は保育コンシェルジュの育成も考えていく必要があるだろう。

だが、自治体はどこまで利用者にサービスの情報が伝わるよう取り組む必要があるのだろう。また利用者はどこまで進んで情報を入手するよう努める必要があるのだろうか。自治体と利用者のバランス、常に考えておくことは重要であろう。

(参考文献:図表の出所)

表1)筆者作成

図1)横浜市こども青少年局「保育・教育コンシェルジュ」をもとに筆者作成