北欧ノルウェーの生き方「ショーぺストップ」とは?消費社会で幸せになれるのか疑問に思う人々

消費社会がメンタルヘルスと地球環境に与える影響に、注目が集まる(写真:アフロ)

ノルウェー語で「ショーぺストップ」は、買い物をやめよう・減らそうという宣言や呼びかけを意味します。

最近、この言葉をネットや取材先でよく聞くようになりました。

北欧諸国の中でも、ノルウェーは60年代の油田開発以来、経済的に大きな変化を遂げました。欧州では、「オイルでお金持ちの国」として有名です。

ノルウェー統計局SSB欧州統計ユーロスタットによると、欧州で市民一人当たりの消費量が最も高いのはルクセンブルク、次にノルウェー。欧州平均値よりもルクセンブルグは32%、ノルウェーは27%も消費量が高く、北欧他国と比べると8~16%高くなります。

買い物は楽しんだり、ストレス発散もできます。一方で、環境や気候への負担は大きくなるだけではなく、メンタルヘルスが悪化することもあります。

大量生産・大量消費が中心となる現代社会で、「何かがおかしいのでは」と疑問の声を上げる人もでてきました。

2月頭、首都オスロでは環境団体「未来は私たちの手に」が主催するトークショーが開催されました。テーマは「消費を少なくしたら、より良い人生を送れるか?」

左から、環境団体バッケン代表、ジャーナリストのトゥヴェイテレイドさん、ブロガーのフログネルさん、労働党青年部のリバックさん、商業連盟ヴィルケのクリステンセン事務局長 Photo: Asaki Abumi
左から、環境団体バッケン代表、ジャーナリストのトゥヴェイテレイドさん、ブロガーのフログネルさん、労働党青年部のリバックさん、商業連盟ヴィルケのクリステンセン事務局長 Photo: Asaki Abumi

「私たちの周りは、たくさんのもので溢れています。消費は増えるばかり。もう十分でしょう」と話すのは、団体の代表であるバッケンさん。

ジャーナリストであるシメン・トゥヴェイテレイドさんは、首都から田舎へと引っ越した経験を話しました。

都会から田舎へ引っ越したら

「収入や仕事量は減ったけれど、自然や自分との時間が増えました。家のローンともおさらばできて、借金も減り、経済的な自由を得ました。畑を耕しながら、田舎から記事を書く生活で、私は自由を勝ち得たのです」

「田舎では買いたいと思わせる誘惑も少ないので、買い物はあまりせずにすみます」

消費を減らすことを推奨する料理人・ブロガーであるミア・フログネルさんは、「ショッピング・デトックスとは、自分の習慣を変えることだ」と話します。

プレゼントの習慣を変えたら

「下着や靴下は、必要であれば買います。その代わりに、ゴミを減らすことでも貢献できます。マイボトルを使って、使い捨てカップを選ばないとか」

「私はクリスマスプレゼントはあげないし、いらないと宣言しました。思いやりや愛が関わってくるものなので、難しい決断だったけれど」

「ヴィンテージのプレゼントをあげようという動きもありますが、誰かが使ったものを嫌がる人もいるので、これは難しいなと感じてはいます。子どもの誕生日会とかもそうですが、今までのあった当たり前を変えようとするとき、最初の一人目になるのが、一番敷居が高いですね」

経済成長を当たり前だと若者は思っていない

若者の代表として、労働党の青年部からはオスロ支部代表のイーナ・リバックさんが参加。若者は環境への負荷を心配しているので、今の生活を変えなければいけないと、明確にわかっている世代だと語ります。

「経済成長は当たり前でしょうなんて、そんな言い分をこれからの世代は認めません。若い人たちは、いらいらしながら、大人たちに問いかけを続けるでしょう」

「だから、聞きたい。(ファッションブランドの)H&Mとかもそうだけれど、『試みるとか』口だけで言っていないで、この時間がない中、早く物事が進むように、どうしていくのかを知りたい。消費をするあなたたちの会員を、どう説得していくのですか?」

リバックさんが問いかけているのは、ノルウェー商業連盟ヴィルケのクリステンセン事務局長です。

働く時間や給料は、下がってもいいのでは

「消費を一気にオフにしようとしたら、社会が墜落してしまいます。しかし、ノルウェー人が当たり前のように思っている、『給料アップは当然でしょう』は、おかしいと思っています」

「労働時間も給料も、今よりちょっと下がった生活だって、ありなのではないか」と事務局長は答えました。

「石油の国ノルウェーは、これ以上、豊かになる必要は、そもそもあるのだろうか」という声が、客席や会場からは出ました。

抵抗を覚える人も

一方で、「消費を少なくしよう」や「ヴィンテージをもっと買おう」という主張には、抵抗を感じる人もいます。

金銭的に余裕がないから、仕方なくヴィンテージを買う人もいます。

「そう言うのは簡単だけれど、それは中流階級の言い分だ」と、もやもやしたものを感じるのです。

習慣を変えるのには、時間がかかります。だからこそ、主催する環境団体は、ヴィンテージなどをもっと買いやすいように、敷居が低くなるように、呼びかけを続けていきたいとも話しました。

Photo&Text: Asaki Abumi