ごみで農業を ノルウェーのサーキュラーエコノミー工場

ゼロ・ウェイスト、食品ロス削減へ、廃棄物でトマト栽培 Photo:Abumi

持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて、各国が様々な対策をしている。北欧ノルウェーにある「魔法の工場」(Den Magiske Fabrikken)では、自治体や企業が期待を寄せる取り組みが行われている。

ここでは、ごみから作られた肥料を使い、グリーンハウスでトマトを栽培。「気候トマト」という名前で、地元のスーパーでの販売も開始された。

※ 記事の一番最後に虫の画像があります。苦手な方はご注意ください

プラスチックを使わない包装で提供された、おいしい気候トマト Photo: Asaki Abumi
プラスチックを使わない包装で提供された、おいしい気候トマト Photo: Asaki Abumi

「バイオガス工場」、「国家の試験工場」とも呼ばれている施設は、サステイナブルな農業や商品開発の実験場ともいえる。

グリーンな二酸化炭素の貯留、CCS技術における世界的な先駆者になることが目標だ。

首都オスロから電車で1時間ほど離れた場所にあるトンスバルグ Photo: Asaki Abumi
首都オスロから電車で1時間ほど離れた場所にあるトンスバルグ Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi

ノルウェー人口の五分の一を占める約100万人の生ごみと、34か所の農場の家畜から出る排せつ物。これらはリサイクルされ、乗り物用の気候に優しいバイオガス、食物生産のためのバイオ肥料として生まれ変わる。

2017年には、4万3千トンの生ごみ、6万3千トンの家畜排せつ物、4千トンの液状産業廃棄物から、530万リットルのディーゼル量に相当するバイオガス、11万2千トンのバイオ肥料が生産された。

一般家庭で緑色の袋に捨てた生ごみが集まる Photo: Asaki Abumi
一般家庭で緑色の袋に捨てた生ごみが集まる Photo: Asaki Abumi

ノルウェー流サーキュラーエコノミー

北欧では排出量が多い牛ミルクから植物性ミルクへの移行が進む。乳製品会社TINEは、牛を「問題」ではなく「解決策」にしたいと、牛の排せつ物からバイオガスを生産し、商品の運搬に利用している Photo: Asaki Abumi
北欧では排出量が多い牛ミルクから植物性ミルクへの移行が進む。乳製品会社TINEは、牛を「問題」ではなく「解決策」にしたいと、牛の排せつ物からバイオガスを生産し、商品の運搬に利用している Photo: Asaki Abumi

ごみという資源を捨てずに、どのように私たちの生活でもう一度使うことができるか?

多くの教育・研究機関、スーパーなどの産業施設、エネルギー企業が協働して運営している。

この日は工場が関係者に内部公開された。地元で廃棄予定だった食材を使用してランチ Photo: Asaki Abumi
この日は工場が関係者に内部公開された。地元で廃棄予定だった食材を使用してランチ Photo: Asaki Abumi
動物性プロテインよりも、昆虫由来のプロテインのほうが、使用する飲料水の量を3~5分の一に抑えられるPhoto: Asaki Abumi
動物性プロテインよりも、昆虫由来のプロテインのほうが、使用する飲料水の量を3~5分の一に抑えられるPhoto: Asaki Abumi
サステイナブルな未来食として、昆虫食の研究も進む Photo: Asaki Abumi
サステイナブルな未来食として、昆虫食の研究も進む Photo: Asaki Abumi
トマトの根本にあるバイオ肥料 Photo: Asaki Abumi
トマトの根本にあるバイオ肥料 Photo: Asaki Abumi
肥料の土の中ではミミズが元気に育つ Photo: Asaki Abumi
肥料の土の中ではミミズが元気に育つ Photo: Asaki Abumi

子どもたちの社会科見学の場ともなっている。2016年のオープニングには首相も駆けつけ、今も農業・食糧大臣が視察に訪れる。

生産と消費の在り方を変えようとする試み、業界の垣根を超えた連携は、SDGs達成を目指すノルウェーに明るい未来を見せているようだ。

Photo&Text: Asaki Abumi