ゴミだったコーヒーとプラスチックが防水スニーカーになった!フィンランドの #rens

廃棄素材でできた防水加工の次世代スニーカー Photo:Asaki Abumi

ゴミとして廃棄される予定だったコーヒーかすとプラスチックを使って、スニーカーを作る。

プラスチック削減を求める動きが活発で、コーヒー消費量が世界的にもトップの北欧フィンランドで、「レンス」(#rens)というブランドが話題だ。

首都ヘルシンキのオフィスで取材に応じたのは、共同創業者であり、ベトナム出身のジェシー・トラウンさん(Jesse Tran)・27歳と、ソン・チェー(Son Chu)さん・23歳。

若い移民によるスタートアップの成功例として、現地の政治家やメディアからも注目を浴びている。

トラウンさん(左)とチェーさん(右) Photo: Asaki Abumi
トラウンさん(左)とチェーさん(右) Photo: Asaki Abumi

クラウドファウンディング「Kickstarter」では試作品のスニーカーをリリースし、7 月11日にはすでに達成率900%、最終的には5033人のバッカーから55万ドルを調達した。

スニーカーはどの国の店頭にもまだ並んでいない。まずはファウンディングでの約5千人に年内に靴を届けることを優先。今から欲しい人は、indiegogoのサイトで注文すれば、来年から入手可能だそうだ。

廃棄に困っていた店が、喜んで提供

オフィスを訪問。筆者が滞在中、9月はほぼ毎日雨が降ったり止んだり。ウォータープルーフのスニーカーがあれば重宝しそうだ Photo: Asaki Abumi
オフィスを訪問。筆者が滞在中、9月はほぼ毎日雨が降ったり止んだり。ウォータープルーフのスニーカーがあれば重宝しそうだ Photo: Asaki Abumi

オフィスはフィンランドにあるが、再利用されるプラスチックは中国で見つけ、コーヒーかすは中国にあるセブン-イレブンから寄付されている。

ゴミの処分にはお金もかかるため、店側も喜んで協力。中国、台湾で靴を製造しているが、いずれは母国ベトナムで工場を構えたいとも思っている。

「若者に支持される、セクシーで魅力的な商品を作りたかった」と話すふたり。

当初はオーガニックコットンで作った靴を考えていたが、コットンは自然環境によくないため、コーヒーに着目。

コーヒーかすで作るシャツなどはすでにあったが、スニーカーはまだなかったことも決め手だった。

一番人気がある色はブラック Photo: Asaki Abumi
一番人気がある色はブラック Photo: Asaki Abumi

ハッシュタグの記号を使う理由

「レンス」は北欧の言葉で「ピュア」、「クリーン」という意味があり、昔の中国語では「なにかいいことをして、良い気分になる」ことも意味する。

商品名にハッシュタグを付けたのは、SNSで新しい動きを起こし、「コミュニティ」も意味する、若者に語り掛ける記号だから。

若い移民のスタートアップは簡単ではない

アジアで製造しているが、投資家たちはフィンランド人だ。フィンランドという国で若い移民がスタートアップ業界に参加するのは、簡単ではない。「現地の大学で勉強し、時間をかけてネットワークを広げていったことが鍵」とトラウン氏は話す。

オフィスには9人のスタッフが働く Photo: Asaki Abumi
オフィスには9人のスタッフが働く Photo: Asaki Abumi
素材はコーヒーのため、靴の中の不快な臭いを消す効果がある。「だから、靴下なしで履いてもいいですよ」とチューさん。靴の素材の割合はコーヒーとプラスチックで50:50。100%ウォータープルーフなので、雨の日にも履くことができる Photo: Asaki Abumi
素材はコーヒーのため、靴の中の不快な臭いを消す効果がある。「だから、靴下なしで履いてもいいですよ」とチューさん。靴の素材の割合はコーヒーとプラスチックで50:50。100%ウォータープルーフなので、雨の日にも履くことができる Photo: Asaki Abumi

実は、すでに日本からも複数の企業が販売をしたいと交渉してきているそうだ。日本の市場で、このハッシュタグのスニーカーを目にするのは、それほど遠くはなさそう。

「ほかに、こういう商品も作ってほしい」というアイデアも続々と届いていると、ふたりはワクワクしていた。

ファッションの未来

Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi

今、北欧ファッション業界ではサステイナブルな方向へと大きな転換が迫られている。

北欧のコーヒーカルチャーを取材してきた中で、この靴の存在をインスタグラムでたまたま知った時、どうしても取材したいと思った。

ノルウェーでは、コーヒーかすを再利用した石鹸・スクラブ・きのこ栽培をする「グルーテン」社も、活動の幅を広めている。

廃棄予定だった素材で作るファッションは、今後ますます需要が増すのかもしれない。

Photo&Text: Asaki Abumi

写真&文:あさきあぶみ