EVの国ノルウェー、2019年上半期の新車販売45%が電気の車

オスロ、城要塞地下にあるEV駐車場 Photo: Asaki Abumi

ノルウェー道路交通局は2019年上半期の電気自動車EV販売のデータを公表した。

2019年前半6か月中の新車販売では、EVが45%を占めた。

最も人気だった車種は、13.5%のシェアを占めたテスラ モデル3。

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ノルウェーが世界で「EV先進国」と呼ばれているには理由がある。

国レベルでは、市民がEVを購入しやすいように、政府が税金控除の政策を進める。

自治体レベルでは、市民がEVを日常生活で使っていて、「これはお得だ!」と思えるようなサービスを議会が提供。

特に首都オスロでのEVシェアは、今年の上半期3か月だけでも新車の71%がEV。驚異の数字をたたき出している。

首都中心部では車の出入りを規制する「カーフリー計画」が進んでいるため、優遇制度があるEVのほうが走りやすい。

商品などを運搬する企業も社車をどんどんとEV化。社員がEVで出勤しやすいように、企業の駐車場でも充電スポットを設置するなどしている Photo: Asaki Abumi
商品などを運搬する企業も社車をどんどんとEV化。社員がEVで出勤しやすいように、企業の駐車場でも充電スポットを設置するなどしている Photo: Asaki Abumi

カーフリー化が進む首都だが、タクシーでは移動が大幅に許される。しかし、電気化にするようにという政治家や世間からのプレッシャーもあるため、タクシーのEV化も進む。

2012年初頭、「オスロで最初のEVタクシーの運転手」として注目を浴びたのがトロン・ソンメ氏。

当時はまだ充電スポットなどに課題もあった。「大丈夫なのか」と、同僚たちは懐疑的な目で彼を見ていたそうだ。

それも、今はオスロでは懐かしいEVエピソードとなった。

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ノルウェーには、各国からたくさんの政治家やメディアが視察に訪れる。「なぜ、この国ではEV普及に成功しているのか?」、その秘密を知るために。

EV事情を知れば知るほど、こう言う人がでてくる。

「オイルマネーで、お金持ちの国だからでしょ?」と。

油田の国だから、EV先進国?

オスロのEV政策を知ろうと、世界中からの訪問者は絶えない。都市環境課のポルトヴィク氏は首都のEV事情をよく知るひとり Photo: Asaki Abumi
オスロのEV政策を知ろうと、世界中からの訪問者は絶えない。都市環境課のポルトヴィク氏は首都のEV事情をよく知るひとり Photo: Asaki Abumi

「ノルウェーと同じようなことをするために、お金持ちである必要はありません」と、話すのはオスロ都市環境課でEV担当者であるポルトヴィク氏。

ノルウェーの人は普段は環境や気候変動の議論に積極的だ。しかし、EVを買う時の理由は、「エコだから」ではない。

「安いから、優遇政策があるから」と答える市民。これはこれまでの調査で何度も同じ結果が出ている。

「買った時に安い。使い続けていても安い」

「駐車料金が無料など、市民が魅力的だと思うサービスを用意すればいのです。必要なのは、EVに税金をかけず、ディーゼルやガソリン車の購入価格を高くする、いわばグリーン税です」と同氏は話す。

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今年の選挙と有料道路議論が、EV優遇策に影響するか

EVの優遇政策のひとつが、有料道路での支払いが免除されることだ。

高速に限らず、多くの道路にはいくつもの「有料スポット」があり、通過するたびに、後で請求書が届く。

大気を汚染する車ほど、道路を使用する料金設定は高くなる。EV運転手であれば、この請求書が届いて、イライラすることもない。

オスロなどでは、EVもある程度は支払い対象だが、ガソリン車などよりは安い。

EVは誰もが買えるものでもないため、「大気を汚染する車の所有者たち」の怒りはピークに達している。

9月にある統一地方選挙では、各地で「有料道路制度に反対」する新政党が立ち上がっている。

これらの党は世論調査での支持率が高いため、各自治体の議会構図を大きく変えるかもしれない。

そうすると、有料道路制度が緩和される可能性もあり、政府や自治体の収入が減ることになる。結果、いつかはEV運転手も、もっと道路使用料金を払わないといけないかもしれない。

今年のノルウェー地方選挙では、車が大きな争点となる。EV優遇政策を今後どうやって維持していくか、議論は続く。

Photo&Text: Asaki Abumi

文・写真:あさきあぶみ(鐙 麻樹)