ノルウェーで生息する野生オオカミの9割、56頭中50頭を射殺へ? WWFが国を訴える

野生オオカミが国の世論を分断する難しいテーマのひとつとなっているノルウェー(写真:アフロ)

ノルウェー政府はすでに9月に26頭の野生オオカミを射殺することを決定している。加えて24頭の新たな射殺が現在検討されている。

世界自然保護基金WWFノルウェーは、この流れに対して「もうたくさんだ」としびれを切らし、オスロ裁判所にノルウェー政府を訴えることを8日に発表した。

狩猟期間は10月1日に始まっており、すでに6頭が射殺されている。

ノルウェーでは野生オオカミの数のカウントは「どの国の土地を行き来しているか」、駆除対象は「ノルウェー政府が認可する野生オオカミ・ゾーンの外か内か」で区別される。

ノルウェー国内で生息しているのは54~56頭、加えてノルウェーと隣国スウェーデンを行き来しているのは51~56頭とされている。

ノルウェー政府が狩猟をすでに認可したのは、政府認可の野生オオカミ・ゾーンの「外」にいる26頭。新たに駆除対象として検討されているのは、野生オオカミ・ゾーンの「内」に生息する24頭だ。

結果、ノルウェー国内のみで生息する全54~56頭中の50頭が駆除されることになる。

外来種ではない「純粋なノルウェー産の野生オオカミの90%が射殺対象となる」と、筆者が問い合わせたWWFの野生動物アドバイザーのコンラディ氏は答える。

ノルウェーでは人の被害はでていないが、ヒツジ農家が自由に放し飼いしているヒツジが野生オオカミに襲われる被害が後を絶たない。自由に放し飼いをしている農家は、家畜の管理において責任を問われることはない。

野生オオカミが生息する地域に住む住民が襲われることはない(死亡者はゼロ)。一方、家の窓から野生オオカミが見えて「怖い」という意見、ペットの犬が野生オオカミに襲われ・殺されるケースは、ノルウェーでは大きく報道されている。

「絶滅の危機にさらされている野生オオカミにとって危機的な状況。環境に優しいということにおいて、王者だと自称しているノルウェーにとっては恥としかいいようがない」とWWFノルウェーの広報ロメルデ氏はプレスリリースで語る。

Text: Asaki Abumi