右派・左派どちらのポピュリスト政党が勝つか ノルウェー総選挙

実は左派ポピュリスト?中央党党首のマグカップ Photo:Asaki Abumi

11日に国政選挙となるノルウェー。与党・右派陣営を担うソールバルグ首相(保守党)が逃げ切るか、野党・左派陣営を担うストーレ党首(労働党)が勝ち、政権交代となるか注目を浴びている。

各政党は一応「中道左派・中道右派」などの区別はされているが、事実上はどの政党の政策も大きくは変わらない。

特に、保守党と労働党は似すぎていると認知されている。結果、有権者がどこの党に投票するか決められない・投票しない人がでる一因ともなっている。

世論調査では最大政党である労働党の支持率は下落傾向にあるが、連立するであろう他の左派政党が数を伸ばしているため、左派ブロック全体の支持率には大きく影響していない。

もし、現政権が続投となれば、「極右・右派ポピュリスト政党」とされる「進歩党」が与党として2期目を迎えることとなる。

現財務大臣である進歩党党首 Photo:Asaki Abumi
現財務大臣である進歩党党首 Photo:Asaki Abumi

2013年に進歩党が保守党と連立政権を組んだ際は、「ノルウェーで最も右寄りの政権」として話題となった。

「進歩党が政権入りするなんて、昔は考えられないことだった」と、筆者が出会う現地の市民はよく口にする。

物議を醸す天才?進歩党の移民・社会統合大臣 Photo:Asaki Abumi
物議を醸す天才?進歩党の移民・社会統合大臣 Photo:Asaki Abumi

移民や難民の受け入れに厳しい発言をする進歩党の大臣たちは物議を醸すことも多く、左派陣営などは「ノルウェーを冷たい社会にした」と批判。

これに対して、首相らは労働党らを「国を悲観的にしかみることができない人々」と相手にしていない。

一方、進歩党の支持率は批判されていた割には大きく下落しておらず、一定の支持率を保っている。

欧州で話題となっている右派ポピュリスト政党は、ノルウェーで成功したのだろうか。それは、進歩党が影響力をもつ位置を政権で維持できるかによって判断される。

「実はポピュリスト政党では?」、左派の中央党

緑カラーでノルウェー政治を支えてきた主要政党のひとつ、中央党 Photo:Asaki Abumi
緑カラーでノルウェー政治を支えてきた主要政党のひとつ、中央党 Photo:Asaki Abumi

昨年から、左派陣営で「実はポピュリスト政党」と報道陣などから指摘されるようになったのが、「中央党」だ。

首都での権力集中を嫌い、「地方在住者が置き去りにされている」と国民感情をあおる発言が続いた。

野生オオカミの駆除を求める地方在住者や羊農家の不満、また自治体合併を強行した右派政権に対する反発が強まったことが中央党の人気を支える。

「首都オスロの権力者がなんでも勝手に決める」ことに憤りを覚える「非都市圏」出身者を味方につけ、支持率を伸ばし続けた。

気候変動対策には関心が低い党員も多い。

「国産」の農産物や、母国を優先させる考え方をもつため、外国人在住者や留学生が優先される支援に批判的な党員もいる。その発言は、時に進歩党と変わりないこともある。

「実はノルウェー版トランプ?」と指摘されているヴェードゥム党首は、笑いながらこれを否定し続けてる。

いつも笑っていることで知られる中央党党首 Photo:Asaki Abumi
いつも笑っていることで知られる中央党党首 Photo:Asaki Abumi

同党首は特殊な「笑い方」がチャーミングポイントともなっており、結果、どの人にも嫌われない人柄で知られている。

労働党と中央党はこれまでも共に政権を担っており、左派陣営の勝利となれば、中央党の政権入りは確実だ。

他党と中央党にはひとつ違いがあると筆者は感じている。「メディアに報道されないことが、あえてプラスとなっている」のだ。

笑顔の党首が描かれたマグカップ Photo:Asaki Abumi
笑顔の党首が描かれたマグカップ Photo:Asaki Abumi

国民に仕事ぶりを見せ、政策を理解してもらうためには、伝統メディアで頻繁に報道され、Facebookなどを活用することがノルウェーでは重要。

しかし、都市から離れた小さな自治体で人気がある中央党は、首都で注目を浴びることが重要課題ではない。SNSの利用度も低い。

党の動きに現地記者が気づいていないこともある。2年前の統一地方選挙で、「中央党が各地で意外と数字をあげた」ことに、ノルウェーの記者たちは首をかしげていたことが印象的だった。

「北欧ノルウェーのポピュリスト」といえば、数年前までは進歩党ばかりが注目を浴びていたが、中央党も油断できない存在だ。

Photo&Text: Asaki Abumi