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先輩との恋愛禁止!夜の帰宅は危ないのでバスで。ノルウェーの新入生歓迎期間

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
新入生が大学生活に慣れるように大学側が応援する期間が始まった(写真:アフロ)

8月になり、ノルウェーでは全国各地の教育機関で秋学期がスタートしている。大学では、新入生を応援するために「ファッデル」という取り組みが以前から行われている。

新入生たちを数人ごとに集めてグループにして、学科の先輩が大学のことをいろいろ教える、約2週間ほどの期間だ。

まだ引っ越したばかりで、現地や大学環境になじみのない新入生にとっては、履修科目や試験のアドバイス、学生寮での過ごし方など、ためになる情報をもらえる期間でもある。

ファッデルに参加するかは個人の自由で、先輩もボランティアとしてグループのリーダーとなる。グループとして機能するかどうかも、リーダーや参加者同士との相性があるため、仲良く頻繁に出かけるグループもあれば、活動が少ないグループもある。Facebookでの交流が多い。

ファッデル期間には、外でお酒を飲むことも多い。ノルウェーでは、泥酔した状態では若い女性はレイプ被害にあいやすいことは以前から指摘されている。

首都オスロの交通機関を管理するRuterは、ファッデル期間にあわせて、8月の第3・4週目は、中央駅からクリンショ学生寮までの深夜バスを増やすことを発表。

オスロ市議会の議員であるバルグ環境・交通局局長は、「私が大学生の頃はタクシーにお金を払う余裕もなく、バスがなくて友人の家に泊まらなければいけなかった。交通機関を利用してもらえれば、環境政策としてもプラス。なによりも帰宅する若い女性にとって安全になる」と大学新聞に語る。

先輩と新入生はファッデル期間中に恋愛に落ちることもある。一方で、先輩が新入生と「遊び」、新入生が傷つくという事例も。

オスロでの一部のファッデルグループの責任者たちは、グループのリーダーとなる先輩たちに、事実上の「恋愛禁止」(主にキスや性行為などの身体的接触の禁止)をお願いしたと学生新聞は報じる。

「運命の人に出会うかもしれませんが、デートするまでに2週間ほどは待てるでしょう」と、恋愛禁止を通達したグループの責任者であるミエルスタ氏は同紙に語る。

Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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