ノルウェー国営放送局がカメラ前でセックスするカップルを一般募集

新番組の司会者リーネさん Photo: NRK

日本のNHKが、「若者向けの新しい性教育番組作りのために、カメラ前でいつも通りのセックスをしてくれるカップルを募集」と街中にポスターを貼り始める、ということはあり得るだろうか。

ノルウェー国営放送局NRKは、「ありのままのいつものセックス」をカメラ前で再現していいよという一般市民を募集中だ。

NRKは17~20才のターゲットグループ向けに身体についての新しいテレビ番組を作り始めています。

多くの若者は、自分の身体に対して否定的な思いを抱いており、私たちはこの現状を何とかしたいと思いつきました。

多様性のある身体を祝い、身体へのストレスを減らしたいと考えています。問題ばかりに目を向けるのではなく、解決策を探っていきます。

番組の一部ではセックスや性というテーマに触れます。

取材では、若い人々はポルノでセックスを学んでいることがわかりました。ポルノが情報源のままでは、非現実的な人間関係や性器しか知ることはできません。普通ではないあり方が、普通として認知されてしまいます。

ポルノ文化による偽の性教育に対抗して、この番組ではふつうのセックスを取り上げます。

そのため、私たち番組スタッフは、演出なしでいつものセックスを見せてくれる、愛し合うカップルを探しています。

性器や挿入よりも、2人の親密な関係、愛撫、顔の表情という全体像を私たちは重要視します。

目的は、ポルノ文化が見せるものとは正反対の、現代の性の授業です。

18~35歳のカップルを募集中です。

出典:Medier 24、NRK募集要項「テレビで普通のセックス?」

メディアサイトのMedier24がNRKの募集告知に気づき、ノルウェー国内の報道機関は28日、このことを一斉に報じた。

番組責任者の一人は、高校生ドラマ『スカム』(SKAM)も手掛けたホーコン・モスレット氏。

NRKの恋愛番組で人気の芸能人リーネさんが司会者となり、番組名は「リーネがその身体をなんとかする」。

ノルウェー国営放送局が、大胆で物議を醸す子ども・若者向けの番組を作るのは初めてではない。時には、炎上することもあるが、多くの人々が意見を口にするきっかけになるとして、報道関係者は炎上現象をプラスに受け止めることが多い。

セックスの仕方がわからない時、自分の性器の形などに疑問を持った時に、若者はまずネットで検索をする。

結果、多くがポルノサイトに行きついてしまい、そこで見るものを「普通のもの」として認識してしまう。

美化・編集された世界観だと区別できず、自分もこうでなければいけないのかと思い込む若者が多いことは、ノルウェーでは以前から指摘されていた。

以前、別の記事で紹介した、ドラマ『スカム』で演じたファルクさんも、「私が性のことを初めて学んだ場所はポルノサイトだった」と、性教育を改善してほしいと発言したことで知られる。

タブーで話しにくいテーマにするのはもうやめよう。大人に若者が相談しやすい環境をつくり、みんなで話しやすい雰囲気をつくろう。一部からクレームがくるとしても、普通のセックスや避妊方法を、様々な方法でメディアや教育現場でも教えるべきだ、と。このような声がノルウェー社会では以前から目立っていた。

普通の人が、演技や指導なしで、いつも通りのセックスをする様子を撮影したい。そのために、俳優ではなく一般市民への募集に踏み切ったのがNRKだ。

放送されれば国内で議論となることは予想できるが、NRKはそれも狙いのうちだろう。

司会者となるリーネ・エルヴスオースハーゲンさんは、「私やたくさんの女の子たちは、自分はこのままではだめ、どうせ私なんてと、心の中で落胆していました。そんな自分にイライラもしていました。身体のポジティブなあり方を提案し、今の身体を喜んで受け入れてもいいのでは。だって、私たちは素晴らしい存在だから」とNRKの記事で語る。

「ポルノでは、セックスはあえぎ声と欲情の嵐ばかりかのような印象を与えます。本当は、もっと気持ちのいいセックスツアーなのだよという側面も知ってほしい」。

NRKが若者向けの性教育を特集することは異例ではないが、性行為をする人を一般募集という手段が珍しく、各社は大きく報道。

記事が掲載されたSNSの各コメント欄では笑って受け止めている人ばかりで、「応募してみれば?」と知人に紹介している人が多い。

放送予定は11月。すでに一般募集には申し込みに興味があるという人々から問い合わせがきているという。

Text: Asaki Abumi