FMからデジタル放送移行で、大手ラジオ局のリスナーが減少/ノルウェー

ラジオのデジタル化を進めるノルウェーだが戸惑う人も多い(提供:アフロ)

ノルウェーではラジオのデジタル化に伴い、数年かけてFM放送を全廃し、デジタルラジオDAB+(以下DABと省略)に移行していく。

FM放送全廃は国営・大手民間ラジオ局は年内を目標に、ローカル局は数年かけて移行させる予定。一方、テクノロジーの変化のスピードと政治家の決定に困惑している人も多い。

市場調査会社Kantar TNSによると、デジタルラジオ移行後、大手ラジオ局は一部のリスナーを失ったことが判明した。

VG紙によると、国営放送局NRKのラジオ局P1は、この1年間でリスナーが151万7千人から、139万4千人に。全体の8%、12万3千人のリスナーを失った。

NRKのラジオチーフであるラーセン氏は、「デジタルラジオへの移行はユーザーにある程度の負担を伴わせてしまうが、リスナーは後から戻ってくる傾向がある。デジタル化でニッチなラジオチャンネルは増加するため、大手のリスナー数が減少することは想定していた」と回答している。

国営放送局でFM放送が終了した地域では、ローカルラジオ局に変化についていけなリスナーが移動しつつある。NRKによると、ラジオ・オーレスンではターゲットグループは25~55歳だったが、11~80歳の幅広い層に聞かれるようになったと答える。

一方、年配のリスナーは朝早くから台所でラジオを聴き、異なる音楽を聴き、局への問い合わせはネットではなく電話でするなど、若い層とは異なる手段でラジオに親しんできた世代だ。

「我々の局では司会者が話している時に音楽も同時にかけることがあるのだが、一部の新しいリスナーはその形式に慣れていない。2つのラジオ番組がミスで同時に放送されていると誤解する人もいる」。聴きたい種類の曲が流れてこないなど、今まではなかったような問い合わせが増えたと、ラジオ・オーレスンのリーダーであるファルスタ氏はNRKに答える。

筆者は現在、ノルウェーのフォルデ音楽祭の取材にきているのだが、国営放送局NRKラジオの音楽番組担当者もいて、私たちはちょうどこのデジタル化の話をしていた。

「僕は40年以上ラジオ局で働いているけれど、デジタル化の話を聞いた時はネガティブにはならなかったよ。ノルウェーではAM放送もかつては一般的だったんだけれど、どんどん減少して、その変化には船に乗る漁師とかが困っていた。だから僕のような年配の人にとっては、ラジオの大きな変化は初めてではないんだ。FMとDABを両方維持しようとすると費用がかさんでしまう。DABだけになったら、国民へ届けられる番組や音楽がたくさん増えるよ」とシグビョーン・ネードランさんは微笑んだ。

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デジタルラジオのみで運営するローカル局を訪ねた

Text:Asaki Abumi