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性の多様性を目指して、政治家がプライド・ウィークに参加する意味とは/ノルウェー

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
「保守党」という党名だが、性の政策は保守的とは言い難い Photo:Abumi

性の多様性を祝うプライド・ウィークがノルウェーの首都オスロで開催中。6月23日~7月2日までに各地で様々なイベントが開催される。

中心部の広場で開催中のプライド・パーク。観光客の姿も多い
中心部の広場で開催中のプライド・パーク。観光客の姿も多い

28日からは中心部の広場や通りに「プライド・パーク」が設けられ、各政党や団体がスタンドを設置。誰もが生きやすく、誰もが同等の権利をもつために、どのような活動をしているかを人々に説明する。

LGBTIの人々が安心して立ち寄れるように、プライド・パークの入り口ではセキュリティチェックがあり、警察官も周辺を歩いている。

警察官もスタンドを設けて、毎年パレードにも参加
警察官もスタンドを設けて、毎年パレードにも参加

性の多様性が進んでいるとされる国だが、それでもまだ家族や周辺から差別や偏見を受け、ありのままの自分で生きられない人がいる。今年のプライド・ウィークのキャンペーンでは、「安心してパレードに参加できない人のために、私が、私たちが代わりに歩こう」というものだ。

「怖がるあなたの代わりに私たちがLGBTパレードに参加する」ノルウェー首相も呼びかけ

プライド・パークは、国会議員がいる国会と、地方議員がいるオスロ市庁舎の間にある。空き時間があると、政治家たちが自分たちのスタンドを連日訪れる。首相や大臣が突然ひょろりと立ち寄る光景は、政治家と市民の距離が近いノルウェーならではかもしれない。

各政党には性の多様性を目指す政策があり、広場では市民と党員たちが意見交換をしやすいように、ホノボノとした環境が整っている。

左派の中央党は農民の見方、国産ブランドを指示する
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与党ポピュリスト政党の進歩党、平等大臣や移民大臣が所属
与党ポピュリスト政党の進歩党、平等大臣や移民大臣が所属

ノルウェーの二大政党といえば、右派の「保守党」(与党)と左派の「労働党」(野党)だ。両党の青年部トップに、政治家がプライド・ウィークで視覚化されることの必要性の理由を聞いてみた。

労働党青年部オスロ支部のリーダー、ヴィリュグラインさん。将来大物になる可能性大の卵
労働党青年部オスロ支部のリーダー、ヴィリュグラインさん。将来大物になる可能性大の卵

「労働党は誰もがありのままでいられることを長い間支持してきました。このような場所に政治家が来て、そのことを表明することは非常に重要。性の多様性を目指すことは重要だと、どの政党も同意しています。たくさんの政治家たちがここに集っていることは素晴らしいこと」。

「今でも同性愛者だと公言したり、カミングアウトすることを難しく思っている人がいます。ノルウェーはこれからも、もっともっとこの分野において前進した国でありたいのです。労働党では今年は第三の性を重要政策として掲げ、さらに多くの人が法的に子を持つ親になれることができるようにしていきます」。労働党青年部のアグネス・ナーラン・ヴィリュグラインさんはそう語る。

ノルウェーのアーナ・ソールバルグ首相が所属する保守党青年部のリーダー、クリスチャン・トニング・リーセ氏はこう話す(冒頭写真、右)。「性の多様性を目指していることを、人々に目に見えるかたちで伝えるためにも、政治家がこのような場所に来ることは重要です。性、文化、背景が異なっても、ノルウェーはみんなに寛容な国であろうとしています。ノルウェーは確かに性の多様性においては進んでいますが、それでもまだ、ありのままのじぶんでいることに難しさを覚えている人がいます。政治家がここに来ることで、かつては不名誉だとされていたことが、少しでも標準化される効果があると思います」。

オープニングセレモニーでは、同性婚をしているベント・ホイエ保健・ケアサービス大臣(保守党)が登場。男子が男子を好きで、女子が女子を好きであることが普通になってきたノルウェーを祝福した。

同性婚をしたホイエ保健・健康大臣
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会場は無料で自由に出入りできる
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閣外協力して与党を支える自由党、環境政策や起業家支援に熱心
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経済格差の解消に熱心な左派社会党
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位置的には極左とされる赤党は、民営化に反対。支持率上昇中
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石油・ガス資源に依存する国に警報を鳴らす緑の環境党
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プライド・ウィークで唯一スタンドを設置しないことで有名な政党がある。与党に閣外協力するキリスト教民主党だ。しかし、党首は昨年のパレードに参加し、世間をあっと驚かせた。

左派新聞で有名なクラッセカンペン紙も。この新聞社は読者増加中
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教会までもが毎年スタンドを設置している
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国内最大規模の労働団体も参加。平等は職場から
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Photo&Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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