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「ノルウェー大好き」!愛国心が高まるお祭りとは?テロ対策で警備強化

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
王宮に向かって行進する子どものパレード Photo:Asaki Abumi

みんなで自分の国を愛で、お祝いする日。「5月17日」はノルウェーの人々にとって特別な意味を持つ祝日、「憲法記念日」だ。

1814年5月17日に憲法が制定され、毎年この日は盛大にお祝いをする。ブランスバンド部を筆頭に、国旗を掲げた子どもたちが全国各地で行進する。

Photo:Asaki Abumi
Photo:Asaki Abumi

「おめでとう!」と笑顔で祝福し、民族衣装を着た人々が、各地域の中心部に集まる。国民たちの「愛国心」が大爆発する、楽しいお祭りだ。

民族衣装のデザインは出身地により異なる Photo:Asaki Abumi
民族衣装のデザインは出身地により異なる Photo:Asaki Abumi

アイスクリーム、パンに挟んだソーセージ、ケーキなど、おいしいものをたくさん食べる日でもある。

アイスを何個も食べよう! Photo:Asaki Abumi
アイスを何個も食べよう! Photo:Asaki Abumi
国会バルコニーから手を振る国会議長 Photo:Asaki Abumi
国会バルコニーから手を振る国会議長 Photo:Asaki Abumi

オスロでは120以上の学校が行進に参加し、カール・ヨハン通りを通り、王宮を目指した。

高校生ルスもパレードの最後を飾り、王宮バルコニーにいる王室ご一家に挨拶
高校生ルスもパレードの最後を飾り、王宮バルコニーにいる王室ご一家に挨拶

子どもたちのパレードの最後を締めたのは、「ルス」とよばれる卒業前の高校生たち。赤や青色の「つなぎ」を着ており、この日までに約1か月間、イタズラをしたり、飲酒に明け暮れたり。日本では考えられないようなことをする集団だ。

詳細は別記事「飲酒と性行為が当たり前のノルウェー高校生ルス 驚きの卒業儀式100のルールとは?」にて。

世界を騒がせた お茶目な王室ご一家

王宮のバルコニーからは、王室ご一家が国民に向かって手を振り、パレードを見守る習慣がある。

「ノルウェー王室ってやっぱりいいね」と国民に再確認させた?王子(左から2人目)
「ノルウェー王室ってやっぱりいいね」と国民に再確認させた?王子(左から2人目)

この家族といえば、「王室とは思えないサプライズ演出」が国内外で最近話題を集めたばかり。

国王ハーラル5世夫妻は今年80歳の誕生日を迎え、数日前には式典が開催された。しかし、スヴェレ・マグヌス王子は王宮のバルコニーから人気のポーズを決め、ホーコン・マグヌス皇太子は晩餐会中に突如あごひげを剃り、主役の国王並の注目を集める。その不可解な親子の行動は、複数の国でユーモアを持って報じられた。

【映像】ノルウェー王子、おふざけ 国王夫妻祝う式典で

テロ対策で警備を強化

バリケードとして道路をふさぐバス Photo:Asaki Abumi
バリケードとして道路をふさぐバス Photo:Asaki Abumi

今年は、世界各地で発生するテロの影響もあり、国内のテロ脅威度が上げられた中で行われた。オスロ中心部にいる人の数は、例年に比べて少ない印象を筆者は受けた。雨が降っていて、同時にテロを警戒して中心部を避けた人がいたからだろうか。

前日まで、国内の新聞コラム欄では、「子どもをこの日に行進に参加させることは安全なのか」という一部の保護者の不安と、「テロに怯えるべきではなく、いつも通りに過ごすべきだ」という人の意見が入り混じっていた。

暴走車などを防ぐために、王宮周辺の道路では、バスがバリケードとして設置されていた。

幸いなことに、この日は平和に時間が過ぎた。

民族衣装「ブーナッド」 Photo:Asaki Abumi
民族衣装「ブーナッド」 Photo:Asaki Abumi
自分の国の良さを再認識する大事な日。主役は子どもたち
自分の国の良さを再認識する大事な日。主役は子どもたち

Photo&Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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