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複数との恋愛OKの「ポリアモリー」 NY司法「法的保護を受ける権利あり」と判断

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
イメージ写真(写真:イメージマート)

複数との恋愛OK、ポリアモリー(Polyamory)とは?

ポリアモリー(Polyamory)という言葉を聞いたことはあるだろうか?

これは、同時に3人以上の複数パートナーとの、合意に基づいた恋愛や関係性のことを指す。アメリカでは近年たまに聞く言葉である。

ポリアモリーの概念が生まれたのは、決して最近のことではないようだ。アマゾンなどでは、ポリアモリーを象徴するプライド・フラッグも販売されている。オリジナル版がデザインされたのは1995年ということだ。

アメリカの筆者の周りでポリアモリーを公言し、そのような関係性を望んだり実行したりしている友人・知人はおらず、実態は掴めていない。

ただニューヨークには、ポリアモリーのためのコミュニティ組織、Open Love NYも存在する。身体的性と性自認が一致しているストレート、そして、さまざまなLGBTQの人々を対象に活動しているようだ。公式インスタグラムによると「5000人以上のメンバーを擁する市内最大のポリアモリー擁護団体」とある。

また出会い系サイトの中には、ポリアモリー専用のものも存在する。

ポリアモリーも、カップル同等の権利を

そんな中、ポリアモリーの人々にも、カップル同等の権利が与えられる判断が司法によって下されたとして、ニュースになった。

州裁判所が、ニューヨーク市内のアパートの所有者と賃借人(ポリアモリーの住居人)との訴訟(West 49th St., LLC v. O’Neill)において、ポリアモリーも通常のカップルと同等の法的保護を受ける権利があるとの判断を示したと、FOXニュース米ヤフーニューヨークポストなど複数のメディアが報じている。

記事によると、ポリアモリーの3人(同棲をしていたスコット・アンダーソン氏、マーキャス・オニール氏、そして別居しているアンダーソン氏の夫、ロバート・ロマノ氏)は、アパートのリース(賃貸借契約書)保持者であるアンダーソン氏の死後、「(婚姻関係にない)非伝統的な家族構成」を理由に、同居人のオニール氏にはリースを更新する権利がないと大家に言われ、トラブルになっていた。そして、3人の関係性が精査された後、再び法廷闘争となった。

バクダヤン判事は裁判で「過去」の訴訟の判例の重要性を強調し、「立ち退き禁止と住民保護に対するオニール氏の主張を却下すべきではない」との判断を示した。

全米では2015年に同性婚が合法化されたのは周知の通りだが、判事の言う「過去の判例」とはその随分前、1989年のBraschi v. Stahl Assocs. Co., 74 NY2d 201のことだ。この裁判で、(婚姻届提出という)伝統に則っていない家族のような関係(つまり事実婚)のカップルにも、法的に認められる権利があり、アパート立ち退きなしの「保護」を受ける権利が認められたのだった。

このたびの裁判でバクダヤン判事は「(カップル=2人の関係という)関係構造以外も検討するための扉が開かれた」「子どもが、2人以上の法的な親を持つことを認める法制化へ向け、動きが急速に進んでいる」と述べた。

多様化がさらに進むアメリカ。ロマンチックな関係性についても「カップル=2人」にこだわらない新時代が、今後ますます拓かれていくのだろうか?

(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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