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元ミスUSAチェスリー・クリストさんの死 最後のインスタ投稿メッセージ

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
Cheslie Krystさん(2019年)。(写真:REX/アフロ)

ニューヨークの超高層ビルから30日朝、女性が飛び降り亡くなった。その女性は2019年のミスUSAに輝いた、チェスリー・クリスト(Cheslie Kryst)さん(30歳)だった。

クリストさんは同日午前7時15分ごろ、ミッドタウン42丁目の自身が住む60階建て住居ビル前の通りに倒れているのが発見された。

クリストさんはこのビルの9階に住んでおり、亡くなる直前に29階のテラスに1人でいるところを目撃されていた。報道によると、2002年のミセス・ノースキャロライナに輝いた母親にすべてを残したいというメモが残されていたが、自殺の動機については触れられていなかったようだ。

「美しさと聡明さを兼備し、誰もが嫉妬するような人生だった」(関係者談)

2019年のミス・ノースキャロライナ、そしてミスUSAとして選出されたクリストさんは、ミスユニバース世界大会でトップ10入りを果たしていた。その後はテレビ番組の司会やレポーター、モデルなど、パブリックフィギュアとして活躍していた。

別の報道によると、ノースキャロライナ州のロースクールを卒業後、法学博士号とMBA(経営学修士)を取得。シヴィル・アトーニー(弁護士の権限を与えられた民事の専門家)として、不当な判決を受けた可能性のある人々のために無償支援するなど、司法制度の改革にも尽力してきた人物のようだ。

クリストさんは、2019年のミスUSAに輝いた。
クリストさんは、2019年のミスUSAに輝いた。写真:REX/アフロ

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クリストさんがミスUSAに輝いた2019年は、ほかにミスユニバース、ミスワールド、ミスアメリカ、ミスティーンUSAと5大会を黒人女性が優勝したエポックの年だった。

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亡くなった30日のインスタには...

クリストさんは死亡した30日、インスタグラムに自身の顔写真と共に「May this day bring you rest and peace (Heart)」(この日があなたに安らぎと平和をもたらしますように(ハートの絵文字))と投稿していた。

その2週間前には、「Those January workouts been workin lol」(1月のエクササイズはちゃんと機能しているわ笑)とフィットネス・ウェアを着て、心身ともに健康そうな一面も覗かせていた。

またクリストさんはこれまでもさまざまな機会に、メンタルヘルス(心の健康)の啓蒙活動を行ってきた。例えば、2019年10月には「世界メンタルヘルスデー」に寄せて、フェイスブックに以下のように発言をしていた。

「メンタルヘルスをどのように保っているか。私はたくさんのことをしています。その中でも私が行ったもっとも大切なことは、カウンセラーと話すことです。彼女は本当に話しやすく、特に私が悲しい時、ハッピーな時、忙しくなる直前に素晴らしいアドバイスをしてくれるのでおすすめです。カウンセラーを利用しない時は、ただ1人でくつろぐようにしています。携帯電話などすべての電源を切り、メッセージの返信もせず、ただお気に入りの映画を観て過ごすようにしています」

コロナ禍になった2020年5月には、自身のセルフケアとし以下の情報も発信していた。(動画の1:05から)

「1つ目は、毎日の生活をルーティーン化し、規則正しい生活を送ること。毎朝午前6時45分に起きて、活動を開始します。2つ目は外界とはメリハリをつけてちゃんと距離を取るようにしています。午後6時にはメールの返信を止め、すべてのコンタクトを断ちます。3つ目は、体を健康に保ち頭をスッキリさせるため、定期的に運動をしています」

メンタルヘルスの健康のために尽力し、自身もさまざまな努力を行ってきたであろうクリストさん。一体何があったというのか。

ニューヨークでは、自殺を防止するために、24時間年中無休の無料相談電話が設けられています。

(市内)1-888-NYC-WELL(692-9355)

(市外)1-800-273-TALK (8255)、もしくは SuicidePreventionLifeline.org

▽ 市内には、日本人心理療法士による相談機関「ハミルトン- マディソン・ハウス 日米カウンセリングセンター」もあります。

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(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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