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米国での小室眞子さん報道は続く? NYポスト紙記者に直接聞いてみた

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
ニューヨークポスト紙の表紙イメージ。(c) Kasumi Abe

小室眞子さんと夫の圭さんがニューヨークに移住し、もうすぐ1ヵ月になろうとしている。移住当初は、英タブロイド紙のデイリーメールが新居について報道し、それにニューヨークポストなど一部の米メディアや日本の週刊誌も追随したが、最近は報道も落ち着いてきたようだ。

そんな中、筆者のもとに電話が掛かってきた。ニューヨークポストの記者からだ。質問は「小室眞子さんについて、日本の報道で何かアップデートはないか?」ということだった。

筆者はロイヤルウォッチャーではないが、10月に「ニューヨーク在住の日本人記者」ということで、同紙に取材を受けていた。

10月のニューヨークポストの記事。(c) Kasumi Abe
10月のニューヨークポストの記事。(c) Kasumi Abe

その後同紙は、夫妻のヘルズキッチンの1ベッドルームの新居についても報じた。具体的な数字はわからなかったが、相当多くの読者に読まれたようだ。

今回の電話は、続報のリサーチのようだ。

筆者は「特筆すべき新たな情報は知らない」と伝えた。記者はほかにもさまざまな人に話を聞いていると言っていた。数日後、記事になるのか確認したところ、「新たな情報として足りないため記事化は見送った」とのことだった。

そもそも米国人は皇室に関心があるのか?

アメリカ人はそもそも皇室や元皇族に関心があるのか? これについて、ニューヨークに住む日本人として思うことは、それほどメディアや一般の人々は関心を示していないということだ。

天皇皇后両陛下の長女、愛子さまが今月1日に成年皇族となられたニュースにしても、アメリカで記事にしたのは、確認できる限り、ロイターブルームバーグなど一部のメディアだけだ。

そもそも、アメリカで皇室関連の記事は、即位の礼などよっぽど大きな行事でも行われない限り報道されない。

よって、筆者は小室さん夫妻がニューヨークに移住する際も、当地でパパラッチされることはそうないのではないかと思っていた。

しかし蓋を開ければ、件の英デイリーメールが夫妻のニューヨーク到着時から追いかけ、ヘルズキッチン地区の居住アパートをすっぱ抜いた。そして米ニューヨークポストや日本の週刊誌、ユーチューバーなども追随した。デイリーメールなどはその後、眞子さんの買い物姿なども隠し撮りしている。

それにしても、大半のアメリカ人は、小室夫妻のことも結婚騒動についても知らない。筆者の周りにも、皇室や元皇族について関心を示す人はいない。日系アメリカ人でさえ、話をふってみても、大抵「へぇ」で終わる。誰一人として「それでどうなったの?」などと聞き耳を立てることはない。

1人だけ、筆者の周りで関連情報をフォローしているアメリカ人がいる。眞子さんの結婚騒動から圭さんのポニーテール論争まで、事細かに知っていた。その人は日本文化に造詣が深く、日頃はジャパントゥデイで情報収集をしているそうだ。匿名を条件にこのように話した。

一般のアメリカ人が皇室、元皇族に関心を示さない理由として、「アメリカはそもそも王室などのないデモクラシー(自由と平等)の国だから、プリンスやプリンセスについて興味が全くないのは当然です」。

なぜ米メディアは眞子さんが気になるのか?

ただし、メディアの記者となると話は異なるようだ。

小室夫妻の最新情報を引き続きリサーチしているニューヨークポスト紙の記者、ダナ・ケネディさんに、筆者は質問をしてみた。

まず、一般のアメリカ人は日本の皇室や元皇族に関心がないのではないかということについて、ケネディさんはこのように答えた。

「人々はイギリス王室については知っています。英王室のニュースを見て育ってきましたから。同じ言語だし(西洋の)文化も似ていますしね」。一方日本の皇室については、「言語も文化もすべてにおいて違いすぎるため、ほとんどのアメリカ人が知らないのは当然でしょう」。その上で「人々が興味がないのは日本の皇室だけではありません。例えばスペインの王室についても、一般のアメリカ人は知りません。唯一、大きなスキャンダルがあった時に、初めて人々の関心が向きます」。

確かに、そういう意味では、タイのマハ・ワチラロンコン国王のお騒がせニュースなども、たまに米紙で記事となっている。

次に、「記者として、なぜあなたは小室眞子さんに関心があるのか?」という疑問を投げかけた。

「答えはすごくシンプルです。アメリカでは非常に珍しい話だからです。あんなに若い女性が皇族の地位も大金(一時金)も諦め、外国に旅立ちました。すべては愛のために。こんな話がほかにあるでしょうか?」(ケネディさん)

皇族の地位の放棄については眞子さんの意思ではなく、女性皇族であればそのような規定になっていると筆者は説明したが、

「なぜ女性だけが地位を諦めなければいけないのでしょうか? ヨーロッパの王室は女性が結婚しても地位は保たれます」(ケネディさん)

今後も、小室眞子さん圭さん夫妻について新たなニュースが出てきたら、また米紙でも記事として取り上げられる可能性は十分にありそうだ。

眞子さんの新居や生活雑貨の買い物風景をすっぱ抜いた、英デイリーメールにも質問を投げかけたが、回答は得られなかった。

(Text and photos by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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