「心がザワザワ」米大統領、各国首脳陣など11名から安倍首相へ寄せられた贈る言葉(NYの声も)

2017年2月の初の日米首脳会談の様子。(写真:ロイター/アフロ)

同じ病気を患ったニューヨーカーの声

ニューヨークでは昨日から、筆者が日本人であることから友人との会話に必ず安倍首相辞任の話が、スモールトークで入ってくるようになった。

日本を旅行したことがある日本びいきのバリスタの男性とは、このような会話になった。「ニュースを見たよ。安倍さんは長い在任期間だったんだってね。でも彼は日本経済を回復させるはずだったのに、いくつか失敗したって聞いたよ」。

埼玉で英語の教師として1年住んだことがある女性の友人(メディア系)は、ニュースを見てびっくりしたと言う。なぜなら「安倍首相とまったく同じ潰瘍性大腸炎を患ったことがあるから」。その上でこのように言った。

「安倍さんは立派(admire)だと思う。だってこの病気は本当に痛くて辛いから...。彼はここまでよく仕事と両立できたなって...」。彼女が潰瘍性大腸炎を発症したのは11歳のとき。ものすごい腹痛に襲われ、何もできない状態が頻繁に続いたそうだ。何度も病院に行き、病名が診断されたのは半年後。17歳の時、腸の一部の切除という大手術を8週間あけて2度受けた。以来状態は良くなり30年以上経った今は完治しているが、今でもアルコールを一切飲まない。「この病気はいつも痛くて本当に辛いのを知っているから、安倍さんはよく頑張ってきたと感心している」

私が「なんで安倍さんは手術をして完治させないと思う?」と聞いたところ、「わからない。私が手術を受けたのは若い時だから、もしかして年齢的なことも関係あるかも」とのことだった。

世界各国のリーダーから「贈る言葉」

トランプ大統領はじめ各国リーダーからの「贈る言葉」がロイターなどで報じられた。ここでは11人から寄せられた声を紹介する。

アメリカ、トランプ大統領

トランプ大統領は28日、大統領専用機エアフォースワンの中で、記者団に対しこのように述べた。

「私の偉大な友人である安倍晋三首相に、最大の敬意を表したいです。 ... 彼は私の素晴らしい友人です」

「ただただとても残念です」

「残念に思う」というのは通常「feel sorry」と言うが、トランプ大統領が使った言葉は「feel very badly」。つまり、安倍氏の健康上の問題や辞任について「非常に心がざわざわする、懸念している」というようなニュアンスの気持ちが見え隠れしている。

またトランプ氏は「安倍氏は日本をとても愛している」と語り、近日中に電話をかける予定を明かした。

CBSニュース、ホワイトハウス特派員のツイッター

過去記事

安倍首相は2016年11月、トランプ氏が大統領選に勝利した9日後、ニューヨーク五番街の当時の自宅であるトランプタワーに向かい「異例の挨拶」をし、メディアで「少し変わった外交スタイル」と報じられた。筆者もこの日はちょうどトランプタワー前で取材をしていた。

次期大統領候補のジョー・バイデン氏も、自身のツイッターで声明を発表した。

「@AbeShinzoさん、あなたの友情とリーダーシップに感謝します。退任されるのは悲しいですが、日本とアメリカ、そして両国の人々の間で固く結ばれた同盟は、これからも長きにわたって続いていくことでしょう。友よ、今後のあなたの健康を祈っています」

関連記事

トランプ政権で国家安全保障を担当してきた前大統領補佐官、ジョン・R・ボルトン氏からのエール

イギリス、ボリス・ジョンソン首相

「@AbeShinzo氏は日本の首相として国のため、そして世界のために偉大なことを成し遂げてきました。彼のスチュワードシップ(運営や管理能力)のもと、英国と日本の関係は貿易、防衛、そして私たちの文化的なつながりに至るまで、さらなる強さを帯びてきました。 長年のご尽力に感謝し、ご健康をお祈りします」

ドイツ、アンゲラ・メルケル首相

「辞任について遺憾に思い、またご多幸をお祈りいたします」「我々はとても良い仕事を一緒にしてきました(折り合いがとても良かった)」

ニュージーランド、ジャシンダ・アーダーン首相

「安倍首相は素晴らしく誠実さを持った人であると、私の印象に残っています。勤勉さ、情熱、そして他者への気遣いが何を成し遂げるかを、自身を通して示してくれました」

「日本とニュージーランドには、見解が一致するところがたくさんあります。民主主義とルールに基づいた国際システムへ我々が取り交わしたコミットメント(強いつながり、約束)は、ニュージーランド、特に共通の目標を持つインド太平洋地域にとって、日本が重要なパートナーであることを位置づけました」

中国、趙立堅(チョウ・リツケン、Zhao Lijian)外務省報道官

「ここ数年、中国と日本の関係は正しい軌道に戻り、新たな発展を遂げています。...ここに到達するために、安倍首相が取り組んできた重要な努力について、我々はポジティブな評価を表明いたします。そして同時に1日も早いご回復を祈念しています」

台湾、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統

「安倍首相は、台湾の政策であれ台湾の人々の権益であれ、常に台湾に対して友好的でした。彼は非常に前向きな姿勢でした。我々は彼の台湾に対する友好的な気持ちを評価しますと共に、彼の健康を願っています」

ロシア、ドミトリー・ペスコフ報道官

大統領府(クレムリン)を代表して「辞任について遺憾に思います」と述べ、安倍首相とプーチン大統領との関係について「素晴らしい」(brilliant)と表現した。

韓国、青瓦台(大統領府)のカン・ミンソク報道官

「安倍首相の突然の辞任発表を遺憾に思います。日本で最も長く勤めた首相として、多くの意義ある業績を残し、特に韓国と日本の二国間関係の発展に大きな役割を果たしてきました」

「我々は首相の1日も早い回復を願っています。我が政府は日本との関係が向上するよう、新しい首相と新内閣と、これからも協力していきます」

韓国、権泰信(クォン・テシン)全経連常勤副会長

「文在寅(ムン・ジェイン)大統領と安倍氏は、良好な個人的関係を築いておらず、それが二国間関係の発展を妨げています。日本の新たな指導者が就任すれば、その時こそ二国間関係の改善に弾みをつけることができます。COVID-19が貿易やビジネスをさらに困難にしているこの世界情勢の中、不必要な外交や貿易上の対立が互いの国にとって不利になることは、両国が十分理解していることです」

在日ドイツ商工会議所CEO、マークゥス・シュールマン

「安倍氏は多国間主義と自由貿易の重要な推進者の1人であり、日本を世界の舞台に戻すために多くのことをしてくれました。日本は世界第3位の経済大国にふさわしい、知名度と認知度を回復しました」

「我々にはFTA(自由貿易協定)があり、彼は多くの困難な問題に取り組んできました。中国やロシアとの関係、そして取り立てトランプ政権になって以降のアメリカとの難しい関係性を見ても、彼の取り組みぶりがわかるでしょう」

「私は彼が失敗したとは言いたくありませんが、少なくとも未解決の問題となっているのは韓国との関係です。後継者が取り組まなければならない問題だと思います」

「東京にオリンピックを誘致することにも成功しました。これも忘れてはならない大きな功績だと思います」

###

Updated:

北朝鮮から声明は出ていないものの、ザ・ジャパンタイムズは「(拉致問題などに強く働きかけていた安倍氏の)辞任を喜んでいる可能性はある。後継者が誰になるか注意深く見守っているのではないか」とする外交筋のコメントを報じた。

(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止