ゴールデンウィーク/海外旅行で犯罪やトラブルに巻き込まれないよう注意すべきこと(在住者の視点)

「異国だからこうなのかな?」はない。自分の直感を信じよう。(ペイレスイメージズ/アフロ)

今年のゴールデンウィークは4月27日から5月6日までの最大10日間ということで、海外に出る人は例年にも増して多いのではないでしょうか。

少し前にニュースで、日本の芸能人が東南アジアで大金の詐欺被害や窃盗にあったという内容を読んで思ったことがありました。

もちろん盗んだ人が悪いというのは言うまでもないのですが、海外では大金や貴重品から離れた時点でアウトです。所持品から目を離しても誰も盗まない、きちんと交番に届けられる。そんなすばらしい国は、世界中探しても日本くらいでしょう。それだけ平和で、良い意味で異質な国なのです。

(厳密に言えばニューヨークでも紛失物が戻ってくることはあります、お金持ちに拾われれば。ニュースになるくらい「例外中の例外」ですが)

先日、とある旅行計画をこちらに長年住んでいる日本人に話したら、「充分気をつけてね。人が殺されても軽く扱われるような国は特に」とアドバイスされました。さらに「ニューヨークも実はそういうところだけどね」とおっしゃいます。

ニューヨーク市はジュリアーニ前市長の功績で、2000年を境に犯罪数が減り治安が回復しました。とは言え、今でも殺人事件や人身事故は日常茶飯事で、捜査で解決できない場合は、うやむやになったり、自殺扱いとして「処理」されたりもします。

近年うやむやになった、ニューヨークの日本人関連の事件・事故

2014年、何者かに拳銃で複数回撃たれ、ハドソン川で死体で発見されたシェフのオノウエ・ヨシアキさんは、当地ではマフィアに殺害されたという噂があるが、事件は未解決のまま。

その前年には、留学生の小山田亮さんが夜中にNYPDのパトカーに轢かれて亡くなった。最後までNYPDは監視ビデオを公開せず、警官は無罪のまま。小山田さんの家族は市に損害賠償を求めた訴訟を起こしたが、連邦地裁で和解が成立したと報じられた。

小山田さん事件の参照記事:

日本人留学生亡くなる

日本人留学生死亡事故 その後

日本人留学生死亡事故ーー起訴へ

私のこれまでのアメリカ生活17年を振り返ると、命にかかわるような大きな犯罪に巻き込まれた経験はないものの、日本では滅多に起こらないようなことをいくつか体験しました。

家に泥棒が入りPCやカメラの盗難、アパート隣人から暴行被害、痴漢、クレジットカード・スキミング詐欺(1,000ドル戻ってこず)、ロストバゲージ(戻ってこず)etc... 大小さまざまな被害にあい、その都度警察のお世話になりました。警察はすぐに来てはくれるけれど、レポートを書いて終了で、まず犯人はつかまりませんし失ったものも戻ってきません。泥棒が入ったときは鑑識が2週間来てくれず、心身ともに憔悴した経験も。

被害にあうたびに、「ここでは殺人でも起こらない限り、警察は真剣に動いてくれない」と学ぶのですが、よく考えたら人が殺されてもうやむやに処理されていますね。それだけ犯罪数が多く、手が回らない状態なのでしょう。世界で一番まともなのは日本の警察だと思い知ります。

スリ被害は日常茶飯事、だった

私がニューヨークに初上陸したのは1990年、15人弱のグループで訪れました。ニューアーク空港に到着すると、迎えに来るはずのドライバーがおらず、ひたすら数時間待つことになったのですが、人生初のスリ体験は数時間以内に起きました。

グループ内の男子が騒ぎ出したので話を聞くと、見知らぬ男2人に「柵の向こう側に2ドル落ちているよ」と教えてもらい、柵を越えてお札を取りに行き戻ってきたら、バッグが丸ごとなくなっていたというのです。被害男子は到着数時間で現金、トラベラーズチェック、パスポートなどいっさいがっさい失ってしまいました。私にとって初の海外で、到着数時間以内にそのようなことが起こったため、大きなショックを受けると共に、これがアメリカかと一瞬で身が引き締まったことを、29年経った今でも鮮明に覚えています。

滞在1ヵ月の間に、ホストファミリーに高級店が連なる五番街に連れて行ってもらうことがありました。そこはスリが横行していて、旅行者が背負ったリュックから財布を抜き取っているのをこの目で実際に目撃したものです。90年代はそういう時代でした。

NYの治安は改善。とは言え、今も多くの日本人旅行者が狙われている

数年前まで、メガネ詐欺だのワインボトル詐欺だのが流行っていました。私は幸いそのような被害を経験したことがありません。

ただし最近でも、日本から旅行で来た方がさまざまな被害にあっています。私の耳に入ってくる多くはスリ被害ではなくて、ぼったくり被害です。

ある男性はJFK空港からマンハッタンのホテルまでタクシーで通常70ドルほどのところ、倍の150ドル請求されました。その方は機転をきかせ、「現金がないから待ってて」と、ホテルのフロントに助けを求め、被害を回避。

最近では家族5人が空港からホテルまでタクシーに乗り、280ドルを請求されたそうです。彼ら曰く「5人だから2台分、150ドルほどを見積もっていたが、予想以上に高額チップを請求してきた」そうで、長旅の疲れもありすんなりと支払ったそうです。

また別の女性はホテルから出たところで若者集団に名前を聞かれ、つい答えたら、自作CDに勝手に名前とサインを入れて売りつけられました。被害額は20ドルほど。このように被害額の大小にかかわらず、あいかわらず日本人観光客はカモにされています。

タクシー詐欺もストリート詐欺も、明らかに旅行者風の格好をしていたり、現地の事情を知らない、英語がうまく話せない方が、狙われやすい傾向です。現地に住んでいたらなんとなくわかるのですが、旅行者は格好や醸し出している空気がどことなく違います。特に若い日本人女性は日本風のフェミニンなファッション、日本人男性はこぎれいでおしゃれなので、わかりやすいのです。

ロンドンでの体験:料金表は隅々までチェック、口約束はNG

ニューヨークの人々は意外とせかせかしていないので、私も普段は地元民同様にボ~っと(リラックスした状態で)歩いていて、仕事柄、写真を撮ることも多いのですが、そんな私が道でもタクシーでも狙われないのは、見た目が現地に染まっている(日本風の格好ではない)、キョロキョロとしたり不安そうにしていない、そして何かあれば英語で応戦できるからでしょう。

しかしそんな私も、数ヵ月前に訪れたロンドンで、久しぶりにヒヤッとする経験をしました。

観光地を歩いていたときのこと。狭い歩道は通行人で溢れかえっていました。私はジッパーのないバッグを肩にかけ、腕で覆っていたのですが、歩きながら写真を撮っていてバッグにはそれほど注意を払っていませんでした。ふと女性が横からフワッとぶつかってきたその瞬間、ぶつかり方に違和感を感じ、直感で「スリだ!」と思いました。再びカバンをがっちりと抑えたため事なきを得たのですが、その女性(2人組)をしばらく観察したら、次の獲物を虎視眈々と探していて、ただの勘違いではなかったことを確信しました。

しかしそれで終わらず、その後三輪タクシーで、実際にやられてしまいました。15分ほどの場所への料金を感じのよい女性運転手に聞いたら、料金表を見せながら20ポンドとのこと。確かに20ポンドと大きく書かれています。私たちは2人だったので「1人10ポンドね?」と聞くと「そうよ」とのこと。運転手はときどき話題をふり、楽しく会話しながら移動。彼女の英語の発音からイギリス人ではないとわかったので出身を聞くとユーゴスラビアとのことでした。(今となれば真相は不明)

到着し20ポンド渡そうとしたら「え?1人20ポンドよ」と言われ、私たちは「???」。運転手は先ほどの料金表を見せてきたのですが、目立たない箇所に「1人ごとのプライス」と書かれていることに、初めて気づいたのです。

「1人につき10ポンドって確認したら、うなづいたよね?」と問い詰めると、「わからない。私はまだ英語がうまくないから」「私は会社に雇われているから、料金表通りでないと困る」などと言い、引き下がりません。払えなくはない金額だし、ここで必要以上に揉めて旅の思い出を台無しにしたくないという気持ちになって結局お支払いしました。「人生勉強代」として。

このように海外に住んでいても、慣れない外国の土地では想定できないようなことが次々に起こります。特にヨーロッパや南米はスリが多いと聞きます。安全で治安の良い日本からやって来たら、さらに驚くことがあるでしょう。必要以上にビクビクすることはありませんが、どこの国も平和な日本とは違うということを念頭に置いて、充分お気をつけください。そして楽しい旅を!

(All text by Kasumi Abe) 無断転載禁止