Yahoo!ニュース

新元号の令和(Reiwa)、アメリカ現地の反応は

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

新元号が令和に決まった。

日本人として、元号が変わるという歴史的瞬間をこの目に焼き付けたくて、ニューヨークの自宅でネット配信を観ながら、発表をソワソワと見守っていた。そして令和という神聖な響きと文字面に感動しながら、新しい時代の到来に思いを馳せている。

とは言え、元号というのは海外に住んでいるとまったくと言っていいほど関連がなくなるのも事実。普段は西暦でしか考えないので、たまに日本に戻ると驚くほど今が平成何年かが「まったく」わからない。(令和何年かも、しばらくしたらわからなくなりそうだが...)。日本人でさえこのような感覚なので、日本にゆかりのない多くのアメリカ人にとっては「元号が変わる? へぇ、それで?」という反応であることは致し方ない。

しかしながら友好国、日本にとっての一大ニュースであるから、発表から1時間もしないうちに、アメリカのメディアでも続々と報道がされている。

The Wall Street Journal

Japan Chooses Reiwa as Era Name for Next Emperor

日本は次の天皇のために元号として令和を選んだ

Time

The Imperial Succession in Japan Will See the Start of the Reiwa Era

日本の皇位継承は令和の時代と共に明ける

CNN

'Reiwa': Japan announces dawn of a new era

'令和':日本は新しい時代の夜明けを発表

ビル・ハガティ駐日米国大使も公式Twitterで、祝福メッセージをつぶやいている。

ロイターはNew Japanese imperial era Reiwa takes name from ancient poetry(新しい日本の天皇の時代、令和は古代の詩(万葉集)から名付けられた)という見出しで、報じた。

漢字は日本語や中国語が話せない限り、文字の意味の解釈が難しいところだが、令、和という文字の説明として、* The characters used in the new name mean “order” or “command” and “peace” or “harmony”.(新しい名前に使用されている文字は、「秩序、命ずること」または「指揮、命ずること」そして「平和」または「調和」を意味する)と紹介している。日本人であれば「神聖な印象」とか「透明感のある響き」といったように、自分ならではのイメージが浮かぶが、アメリカ人にとってはイメージを捉えることは難しいだろう。

  • * ロイターの該当記事はその後Updateされ、”The first character is most often used to mean “command” but can also mean “good” and “beautiful,” while the second means “peace” or “harmony”. と修正されている。

ちなみに、英語で「Reiwa」という文字で検索すると、オーストラリア西部のパース市にある不動産関連のインスティテュートReiwaがヒットする。海を越えすでに日本の大ニュースが同社の耳に入っているようで、早速関連ツイートをしている。

「エイプリルフールのジョークではありません。REIWA(西オーストラリア不動産協会)は日本の新時代の命名を歓迎します... reiwa!日本のTwitterでのトレンド#1」

新元号と同名にあやかって、しばらく同社にも特需がこぼれてくるかも?!

最後に、日本の報道でも興味深い記事を見つけたので、こちらも紹介しておこう。

朝日新聞「新元号、各国にファクスで伝達へ 「興味ない」の見方も」

新元号発表後の1日午後、日本が国交を持つ195カ国の在日大使館や、国連、欧州連合(EU)の代表部に外務省から英語の文書でファクスを送る。

出典:朝日新聞

「興味ない」についてはその通りだと思うのでそれはよいとして、私は「ファクス」に目を疑ってしまった!

海外、少なくともアメリカでは「Fax machine is dead」と言われるように、ファックスにかんしてはもはやどこの会社も誰も、私が知る限り持っていないし、使ってもいない。(厳密には法的事項のやりとりなど一部で、モバイルアプリまたは専門のソフトウェアを介して送信されるクラウドファックスや電子メールファックスは「まだ」活用されている。私が勤務していた出版社も、契約書のやりとりにファックスを使用することもあった)

近年、主な伝達ツールは、メールもしくはチャットやSNSのメッセンジャーだ。私はいまだに日本の報道関係や芸能事務所がファックスを使って発表していることに普段から驚きを隠せないのだが、安倍首相も記者会見で発表したとおり、令和はこれからの新しい世代の人々を意識した元号であるのにファックス送信なのか、というのが正直な感想だった。(もしくは、このような重要事項はファックス送信が世界基準の常識なのでしょうか?)

(All text by Kasumi Abe) 無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

安部かすみの最近の記事