こんまり論争にも発展。西欧人はどれほど本好きか

アメリカでは、壁一面が本棚になっているお宅も多い。(写真:アフロ)

片づけの神様、こんまりこと近藤麻理恵さんが案内人となって、アメリカ人にお片づけを指南するNetflix番組『Tidying Up with Marie Kondo』(タイディングアップ・ウィズ・マリエ・コンドウ)。

彼女が提唱する「こんまりメソッド」が今アメリカはもちろん世界中でブームになっているのだが、本の片づけについて、SNS上で「心の財産である本まで片づけるの?」という論争にまで発展している。(問題を提唱したのはカナダ人作家)

皆さんは、アメリカやカナダを含む西欧人がどれほど本好きだと想像するだろうか?

例えば家の中。

ニューヨークでは、リビングの壁一面が本棚になっていて書物に囲まれた生活をしている人も珍しくない。

私の知り合いの家。広いリビングには各所に大きな本棚が。(c) Kasumi Abe
私の知り合いの家。広いリビングには各所に大きな本棚が。(c) Kasumi Abe
天井いっぱい、本がびっしり埋め尽くしている。 (c) Kasumi Abe
天井いっぱい、本がびっしり埋め尽くしている。 (c) Kasumi Abe

例えば地下鉄の中。

日本も同様だろうが、ここ10~15年ほどスマホをチェックしている人が増えている。

ここ数年のいつもの地下鉄の光景。横一列全員がスマホを扱っている(ラップトップで作業している人も)。 (c) Kasumi Abe
ここ数年のいつもの地下鉄の光景。横一列全員がスマホを扱っている(ラップトップで作業している人も)。 (c) Kasumi Abe

しかし、こういう風景もニューヨークには健在(写真下)。

先日、気づいたら(私を含む)同じ車両にいる人全員が、本や雑誌など紙の書物を読んでいた。(c) Kasumi Abe
先日、気づいたら(私を含む)同じ車両にいる人全員が、本や雑誌など紙の書物を読んでいた。(c) Kasumi Abe

そして読んでいるのは軽いペーパーバックだけではなく、ハードカバー、そして「どこで借りてきた学術書?」と目を疑うような分厚い書物を読みこんでいる人も、老若男女関係なくたまに見かける。旅行で来たときに、観察してみると面白いだろう。

アメリカ人が全員本好きかというと語弊があるが、少なくとも「教養のある人」は本が好きな傾向があり、彼らは本を「知性を豊かにするもの」「特別のもの」としてとらえている。

とある街の古書店が近所の人々によって救われた

本に関して、最近ニューヨークで興味深い動きがあった。

マンハッタンの高所得者エリア、アッパーウェストサイドに昔からある、こぢんまりした街の古書店「Westsider Books」が経営不振により、35年の歴史に終止符を打つことを決め、翌日から閉店セールを行うことを1月14日に発表していた。

不動産価格が高騰するニューヨークは、小さい個人経営のリテール店にとって商売がしづらい街になっていて、個人商店のみならず、老舗の大型店までが続々と閉店、撤退に追い込まれている。

このまま老舗書店が閉店してしまうのか?

この街にこれ以上、貴重な古本屋がなくなっていいのか?

ニューヨーカーはそれを許さなかった。

地元の人が閉店を阻止しようと、クラウドファンディング「GoFundMe」で募金を募り、803人が参加した結果、目標額の5万ドル(約550万円)をたったの5日間で達成し、経営続行が決まったのだ。

「GoFundMe」のWestside Booksのクラウドファンディング結果

5ドル、10ドル、中には100ドル、500ドル、1,000ドル募金した人も!

賛同者の1人、キンバリーさんは、「私はこの店が好き。ニューヨーク市にはすばらしい古本屋が必要なの。魂のかけらもない大型チェーン店ばかりの街なんてうんざり」とコメント。

共同経営者のドリアンさんは1月21日、閉店をアナウンスする看板を下ろしながら、地元メディアに対して「言葉が出てきません。経営陣はとても驚き、感謝しています」と、感極まった様子で語った。

地元の顧客の賛同者らの動きは立ち上げ当初から早く、「クラウドファンディングから2日目ぐらいで、もしかして閉店を免れるのかと期待が持てました」(ドリアンさん)。

またもう1人の共同経営者ブライアンさんは、「ありがとうございます。皆さんに助けられて目標額が達成され、ドリアンに、チームに、そして大きなコミュニティ(本好きの人、街全体)にスピリット(魂、大きな力)を与えてくれました」と語り、愛書家らと地元書店の関係性がさらに深まった心温まるエピソードが紹介された。

集められた総額52,571ドル(1月22日現在)は、店の賃料や広告、書籍の購入にあてる予定とか。

本好きの人々に助けられたこの書店は、これからも街の人々に愛される存在として残っていくだろう。

(Text and photos by Kasumi Abe)無断転載禁止