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次期駐日大使にトランプの長女、イヴァンカ・トランプが浮上。その噂について現地の声を聞いた

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
トランプ氏の勝利宣言のときの様子(イヴァンカ・トランプは水色のドレスの女性)(写真:ロイター/アフロ)

史上最低とも言われたアメリカ大統領選挙が行われ、ドナルド・トランプ氏が次期大統領として選ばれた。その結果を受け反トランプ派の抗議デモが全米各地で起こり、大統領選から1週間以上が経とうとしているが、いまだ情勢は落ち着いていない。

トランプ氏は官僚人事を発表しており、マイク・ペンス次期副大統領を政権移行チーム責任者に指名したほか、長男のドナルド・トランプ・ジュニア氏、次男エリック氏、長女イヴァンカ氏を移行チームの執行委員会に加えた。トランプ氏は選挙活動中から身内や側近でスタッフを固める傾向にあったが、政権移行期間中も身内でがっちりと重要な部分を固めていくようだ。

そんな中、その長女イヴァンカが次期駐日大使になるのではないかという憶測が飛んでいる。火のないところに煙は立たないと言うけれど、どの程度現実的な話なのだろうか? 街の人はどう思っているのか、現地の声を聞いた。

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今回、街の声を拾ったのは、マンハッタンはミッドタウンの五番街にあるトランプ氏が住むTrump Towerの向かい(トランプタワー前は警察によって一時通行止めになっているため)。この日(11/17)はトランプ氏との初会談のため、安倍首相が30〜40分前にトランプタワー入りしたということで、報道陣が集まっていた。

ここでさっそく通行人に声をかけてみた。

……しかし観光都市ニューヨークらしく、スペイン、メキシコ、オーストラリア、ロシア、ブラジル…と外国人だらけで、意外にもアメリカ人を見つけるのに一苦労。次に、アメリカ人が見つかったとしても、政治的な話はノーサンキュウとばかりに取材拒否者が続出(街頭インタビューはたまにするが、これまであまり取材拒否をされた経験はなかったのだが)。

そして、やっと取材OKと言ってくれても、皆口をそろえるように「イヴァンカについては、取材で答えられるほどの十分な知識を持ち合わせていない」という返答ばかり。トランプサポーターたちでさえも、イヴァンカ氏についてはあまり知らないようだった。

トランプ氏の長女は才色兼備の実業家

まず、イヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump)とはどのような人物なのだろう?

1981年ニューヨーク生まれの35歳。アイビーリーグのペンシルベニア大学ウォートン・ビジネススクールを卒業。トランプ氏と最初の妻・イヴァナ・トランプ氏を両親に持ち、先述のドナルド・トランプ・ジュニア氏とエリック氏は実の兄弟。彼女が9歳のときに両親は離婚している。2009年に、不動産ディベロッパーで、『ニューヨーク・オブザーバー』紙の発行人をしている実業家、ジャレッド・クシュナー氏と結婚し、現在3人の子を持つ(次男は今年3月に生まれたばかり)。

イヴァンカは、180センチの長身を生かしてファッションモデルをしていた時期もある。1997年に『セブンティーン』誌の表紙を飾ってモデルデビュー。以後、『フォーブス』『ゴルフマガジン』『ハーパースバザー』などの有名誌にも登場。また、トミー・ヒルフィガーの広告に起用されたり、ヴェルサーチのショーでランウェイを歩くなど、モデルとして大活躍した。

また2006年より、父のトランプ氏がホストを務めるリアリティショー『アプレンティス』に審査員として出演し話題になるほか、人気ドラマ『ゴシップガール』など、タレントとして数々のテレビ番組にも出演している。

近年はビジネスウーマン色が強く、現在は主に、父がCEOを務める不動産会社、トランプ・オーガニゼーション(Trump Organization)の開発・買収部門のエグゼクティブ・バイスプレジデントといった重役を務めている。また父譲りと言われるビジネス手腕を生かし、ジュエリーブランド「イヴァンカ・トランプ・ファインジュエリー」(Ivanka Trump Fine Jewelry)や、自身の名を冠したファッションライン、また働く女性のためのウェブサイト「イヴァンカ・トランプ.com」(#WomenWhoWork)のファウンダーとしても大成功を収めている。

ちなみに、選挙戦の5日後、CBSニュースの『60ミニッツ』で受けたインタビューで、イヴァンカ氏がつけていたダイヤモンドと18Kのブレスレットは「イヴァンカ・トランプ・ファインジュエリー」で1万800ドル(約118万円)で販売されているものだった。番組出演後に同ブランドのバイス・プレジデントが記者らにメールでそのブレスレットをPR。これが政治を利用した自社商品の宣伝だと批判され、各メディアを賑わせたばかり。とにかく一挙一動に世界中から注目されているのは、父のトランプ氏だけではないのである。

ただの噂か現実的か。街の人はどう受け止める?

いわゆるお騒がせセレブとは一線を画す才色兼備の優等生で、生まれながらのセレブ中のセレブといったイヴァンカ氏。父親からも「不動産も政治もすばらしい勘を持っている」と太鼓判を押されている彼女だから、キャロライン・ケネディ現駐日大使の後継者として本当に就任するとなれば、そつなくこなしてくれそうではあるが、どうだろうか。

まずは、トランプタワーからたったの1ブロック先に住むビバリー・ベハンさんに話を聞いてみた。

「駐日アメリカ大使と言えば、トランプ氏が選挙活動中に現駐日大使のケネディに対して批判したことを思い出すわね。だからケネディの次となると、彼が信頼できる人物を任命することになると思うわ」

とのコメント。イヴァンカ氏についてはあまり知らないと前置きしながらも、次期駐日大使の噂に対して

「寝耳に水だわ。すごく変な噂ね。だってイヴァンカは会社をいくつか経営していて、子どもたちだってまだ小さいはず。それに夫のジャレッド・クシュナーが、政権移行チームとして妻と一緒に選ばれていて、もしかして大統領就任後も側近としてワシントンDCで仕事をすることになる可能性もなきにしもあらずでしょう? イヴァンカが日本へというのは、まったくリアリティがない話」

と、噂を一掃した(ちなみに選挙ではどちらに投票したのかと問えば、「ヒラリーには投票していない」という返答だった)。

マンハッタンの隣、ブルックリンに住むシーラさん(ラストネームは本人の希望で非公表)は

「イヴァンカについて私が知っていることは、頭が良くてデキるCEO、そしてとてもポイズド(穏やかで自信にあふれる意)っていうことだけよ」

もしイヴァンカ氏が次期駐日大使になるとすると、どんな大使になると予想するかと問えば、「聞いたことがない噂」としながらも

「彼女は選挙活動中、父親を非常にうまくサポートして勝利に導いたのだから、大使になったとしてもその任務をそつなくこなすと思う」

と予想した(選挙選では「どちらでもない派」とのこと)。

ニュージャージー州から夫とトランプタワーを見に来たルーアン・ジョンソンさんも、彼女についてはほとんど知らないとしながら

「キャリアがとにかくすばらしい。ブリリアント(非常に頭がよく技術も高いの意)な若くて美しいビジネスウーマンね」

大使候補の噂については、

「その可能性は低いと思うわ。もちろんトランプは娘たちを政治サイドに置きたいだろうけど、家族でアドミニストレーション(政権)を固めるのは難しいだろうから、イヴァンカはこのままニューヨークに留まり父親のビジネスを手伝うことになるんじゃないかしら」

(選挙選では「ヒラリーサイドではない」とのこと)。

と、三者三様の意見ながら、噂についてはあくまで「否定」した。

また、大統領選を全米各地で取材した知り合いのジャーナリストにも聞いてみたところ

「トランプ氏は自分の愛する娘を遠くの異国には送り込まないと思うので、可能性としてはかなり薄いと思う。イヴァンカの母、イヴァナ・トランプ(チェコスロバキア出身の実業家)がチェコ共和国の大使になりたいと表明したのは事実だが、イヴァンカが駐日大使になるというのは、そのような”希望”を含めた反トランプ派が流しているただの噂なのではないか」

という意見だった。トランプ氏の私的アドバイザーで公私共に友人だという側近のコメントも入手することができたが

「根も葉もないデマ」

と完全否定した。

一方で、噂が流れた後の日本国内のリアクションを覗いてみると

「父親より断然好感が持てる」

「綺麗な人なので、駐日大使になってくれたらうれしい」

など、ポジティブな意見が多いように見受けられた。

イヴァンカ氏が日本にとって希望の光になってくれるのか? はたまた現地の人が言うようにありえない話なのか? (彼女でければ誰がなるのか?) 噂の真相については、焦らずしばし待つとしよう。

(Text by Kasumi Abe)  無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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