山口・美祢市の秋芳洞で「洞窟コンサート」を開催する入山アキ子

＜ニッカンスポーツ・コム／芸能番記者コラム＞ 　現役看護師の歌手入山アキ子（55）が10月28日に、ふるさとである山口県美祢（みね）市の秋芳洞で「洞窟コンサート」を開催する。洞内でのコンサートは史上初となる。 　秋芳洞は、秋吉台国定公園の地下深くにある東洋屈指の大鍾乳洞で、特別天然記念物に指定されている。鍾乳洞は、石灰岩が数十万年を掛けて、地表水や地下水などによって浸食されてできた洞窟。 　秋芳洞のシンボルで、高さ約15メートルの巨大な石柱である黄金柱（こがねばしら）や、百枚皿、千畳敷、天井からたくさんの鍾乳石がぶらさがる傘づくしなど、洞内には名所が多数ある。 　入山は秋芳洞のある美祢市生まれで、防衛医大看護学院を卒業し、国家公務員である防衛省技官（看護師）として、胸部外科主任などを歴任。その後、歌手に転身した経歴を持つ。山口県ふるさと大使、山口県美祢市ふるさと交流大使として、地域活性化などに積極的に貢献している。 　秋芳洞を舞台とした「秋芳洞愛歌」を14年に発表した。純愛を歌った秀作で、ご当地ソングとしても愛唱されてきた。 　同曲は、今年8月に発表した新曲「ザンザ岬（ニューバージョン）」のカップリング曲として、「紀淡海峡」とともに収録され、再注目されている。 　そんな入山にとって、秋芳洞でのコンサートは『念願』だった。「やっとできることになり、とてもうれしい」と喜んだ。 　秋吉台観光交流センターの関係者は「大使を務めていただいており、こちらとしてもぜひ盛り上げていきたい」と語る。 　特別天然記念物の洞窟でもあり、大がかりな音響機材などは持ち込まず、アカペラでのコンサートになりそうだ。同センターの関係者は「洞窟内の音の響きは素晴らしいので、アカペラでも聴き応えがあると思います」と期待した。 　これから洞窟内のどの場所で歌うかを詰めるが、シンボルである黄金柱のスペースになりそうだ。 　「秋芳洞愛歌」は、名作詞家の星野哲郎氏が手がけ、3番の歌詞に「石の乳房よ　百枚皿よ」と書いた。「石の乳房」の表現は、鍾乳洞に「乳」の文字があることに由来する。 　鍾乳洞の「鍾」は「釣鐘（つりがね）」のことである。除夜の鐘として知られる釣鐘は、梵鐘（ぼんしょう）とも呼ばれる。その釣鐘には小さな突起物が整然と並んでいる。その数は煩悩（心身を悩ませ煩わせる心の働き）の数と同じ108個である。その突起物を「乳」と呼ぶ。 　その釣鐘の乳に似ていることから、天井からつり下がった石灰石を「鍾乳石」といい、鍾乳石のある洞窟を「鍾乳洞」と呼ぶようになったという。 　除夜の鐘が町中に響き渡るのは、108個の「乳」が音響効果を大きくしているからと言われる。 　入山の史上初の洞窟コンサートも、この音響効果に支えられて、素晴らしいものになるだろう。【笹森文彦】