自衛隊“幹部クラスター”を招いた“安倍前首相の甥”参加の忘年会
昨年末に防衛省が発表した海上自衛隊トップ、山村浩海上幕僚長らの新型コロナ感染。国防を揺るがす事態はなぜ起きたのか――。 【画像】フジテレビを辞め政界入りした“安倍前首相の甥” ◆◆◆ 山村氏のほか、海幕ナンバー2の西成人海上幕僚副長ら海上幕僚監部では計8名がコロナに感染。防衛省によれば、12月16日夜に、山村氏や西氏は都内のホテルで異動する幹部の送別会を開き、海自隊員ら計14人が参加したという。 「軍事組織は危機管理の点から、トップとナンバー2が同時に欠ける事態は絶対に防がなければなりません。そのため、コロナ禍では2人の同席を控えるのは常識。まして、菅義偉首相の8人会食が批判された直後の時期。山村氏の行動には『指揮官失格』との声も出ています」(防衛省関係者) 山村氏は将来の統合幕僚長とも目されるが、 「17日夜も広島県呉市のスナックで、前呉地方総監ら計5名で飲酒を伴う会食をしていた。この店は海自の行きつけで、カラオケも設置されています」(同前) 今回深刻なのは、自衛隊幹部のコロナ感染が「海」だけで封じ込められず、「陸」や「空」にも広がってしまったことだ。 「防衛省は海上幕僚長の副官、陸上幕僚長の副官、航空幕僚長の副官の感染も公にしました。副官は各幕僚長を補佐するポスト。大臣から見て、副長が副大臣なら、副官は秘書官のようなポジションです」(同前) では、なぜ「海」「陸」「空」、各副官の感染が同時に発覚したのか。
送別会と同じ日、安倍前首相の甥が参加した“忘年会”も…
「実は、山村氏らの送別会と同じ16日、同じ都内のホテルで副官3人が参加した別の“忘年会”が開かれていた。そしてこの宴席には同じ“秘書官”的な立場の統合幕僚長副官、防衛相副官、さらに岸信千世大臣秘書官も同席していたのです」(別の防衛省関係者) 岸信千世氏と言えば、岸信夫防衛相の長男にして安倍晋三前首相の甥。昨秋、30歳を前にフジテレビを退社し、11月13日付で秘書官に就任した。いずれ父親の地盤の山口2区か、子どものいない安倍氏の後継者として山口4区からの出馬が確実視されている。 「血筋からして“将来の最高指揮官”にもなり得る存在です。その信千世氏が参加する“忘年会”となれば、時期が時期とはいえ、副官たちには断れなかったのでしょう。信千世氏は陰性でしたが、副官3人は陽性だった。しかも、副官は恒常的に幕僚長と接するポストです。『海』の副官を通じて、山村海幕長が感染し、そこから海自内でさらに感染が広がった可能性も否定できません」(同前) 防衛省の回答。 「(16日に)高官室の職員6名で会食し、そのうち計3名の陽性が確認されています。(信千世氏の参加は)お答えは差し控えます。(山村氏が17日夜に)隊員の送別のため、呉市内で乾杯程度の飲酒を伴う会食を実施したことは事実ですが、いわゆる接待を伴う店に該当しないものと承知しています。時間は2時間程度です」 これで国防は大丈夫?
「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年1月14日号