飲食店の倒産、過去最多を更新 コロナ禍が影響、居酒屋では大幅増加
年末にかけてさらに倒産増加する恐れ
帝国データバンクの調査では、飲食店の倒産が2020年1-11月で736件に達した。これまで通年(1-12月)で最多だった昨年の732件を抜き、11月時点で過去最多となることが確定した。 飲食店ではこれまで、原材料費の高騰や人手不足などの課題に直面し、中小零細事業者を中心に倒産が増加していた。それに加え、今年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国や自治体の要請で休業や時短営業を余儀なくされ、売上が急減。そのため、雇用調整助成金や家賃支援給付金など政府の資金繰り支援パッケージを活用しつつ、Go To イートなど外食産業の支援策による需要喚起を期待していた事業者も多かった。 しかし、11月以降は感染者が急拡大したことで再度の営業自粛を求める自治体が相次ぎ、繁忙期となる年末年始需要も見込めなくなりつつある。経営体力や内部留保などに乏しい中小・零細事業者では既に限界を迎えているとみられ、先行き悲観から事業継続を諦めるケースが今後さらに増加が懸念される。このペースが続けば、飲食店の倒産が過去初めてとなる年間800件台に達する可能性も出てきている。
居酒屋、日本料理店では既に過去最多を更新 西洋料理店も過去2番目の高水準
内訳では、飲食店全11業態中6業態で前年を上回った。なかでも最も多いのが「居酒屋」業態で179件。前年の161件を既に約1割上回り、過去最多を更新している。 居酒屋業態ではランチ営業などを行う店舗もあるものの、基本的には夜5時から明け方までの夜間営業が収益の主軸となる。そのため、時短要請などが行われる都市部の店舗では長期に渡る客足の減少や利益率低下に直面。大人数での宴会需要が激減したことも背景に客足回復には時間を要している。そのためGo To イートの恩恵を待たず、資金力や経営体力に乏しい居酒屋が堪え切れずに淘汰が進んだとみられる。 このほか「日本料理店」業態も75件と、前年(51件)を20件超既に上回って過去最多を更新。フレンチレストランなど「西洋料理店」は94件発生しており、過去2番目の高水準となっている。