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ドイツ軍の精鋭部隊が「ネオナチ」の温床になった理由─「Xデーは9月」の不吉な予言

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クーリエ・ジャポン

コロナ対策に成功し、世界から称賛を受けているドイツが極右主義者の台頭で揺れている。軍のエリート部隊や諜報機関内部に入り込み、民主主義を転覆させようとするその巧妙な手口を米紙が取材した。 【画像ギャラリー】ドイツ軍のエリート精鋭部隊「KSK」の実態 2020年5月、ドイツ連邦政府が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による都市封鎖を解除したのと同じ頃、警察の特別攻撃隊員たちは、ドイツ陸軍の特殊精鋭部隊「KSK」の少佐が所有する建物に集結していた。 KSKは陸軍に属する高度に訓練された軍事部隊で、主に秘密任務をおこなう。 「リトル・シープ」というコードネームを持つその少佐は、「ある疑い」をかけられていた。彼はネオナチに傾倒しているのではないかと。 掘削機で彼の庭を掘り起こすと、高性能プラスチック爆弾2㎏、起爆装置1台、導火線1本、AK-47自動小銃1丁、サイレンサー1個、ナイフ2本、クロスボウ1台、数千発の銃弾、ナチス親衛隊(SS)の歌集や親衛隊員のために発行されていた雑誌、ナチスの記念品などが見つかった。武器はすべて軍から盗まれたものと見られている。 ドイツの国会軍委員会のエヴァ・ヘグルはこの事件について、「リトル・シープは仲間と、何らかの計画を立てていたのでしょう」とコメントした。

極右がドイツ最大の脅威

ドイツは問題を抱えている。政治家や治安当局は、極右グループが軍や警察に潜入している可能性を否定してきた。軍内部で極右だと発覚した兵士たちの上官は擁護され、調査がおこなわれることはなかった。 だが、ドイツ政府や諜報機関、軍上層部はようやくこの無視できない危険な状況を直視しはじめた。多くの極右の過激派が軍や警察に潜み、なかには武器や爆発物を盗んで備蓄している者がいるという事実を。 極右政党「ドイツのための選択肢(AfD党)」の存在が、この問題をさらに複雑にしている。AfDは2015年に100万人以上の移民・難民がドイツにやってきた際に、多くの支持者を獲得した。最近はコロナの流行を利用して市民の危機感をあおり、極右イデオロギーを正当化しようとしている。 ドイツ当局が特に懸念しているのは、アフガニスタンに従軍し、テロ対策に尽くしてきたエリート特殊部隊KSKにとりわけ極右主義者が集中していることだ。 7月、アネグレット・クランプ・カレンバウアー独国防相は、KSKの一部を解体するという思い切った行動に出た。カレンバウアーはその理由を、KSKから約4万8000発の銃弾と62kgの爆薬が消えたからだと説明した。 独軍事防諜機関のMAD(軍事保安局)は現在、600人以上の兵士を極右過激派の疑いで調査しているが、そのうち約20人がKSKに所属しており、その割合は他の部隊の5倍に上るという。 ドイツ当局は、過激派は他の治安機関にも潜んでおり、状況は予想よりずっと深刻なのではないかと案じている。この13ヵ月間、ドイツでは極右過激派による犯罪が相次いだ。彼らは政治家を暗殺し、ユダヤ教のシナゴーグを襲撃し、9人の移民を射殺している。 ドイツ連邦憲法擁護庁のトーマス・ハルデンヴァング長官は「極右の過激派とテロこそが、ドイツの民主主義にとって最大の脅威だ」と語った。

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