木戸大聖「かっこつけてる自分は嘘だなって思う」Netflix『First Love 初恋』と事務所入りが決まらない2年間で糧にしたこと
人として積み上げたものが演技に反映される
ーー所属できるかどうかの確約がない状態で、現場にも出れない中、ひたすらレッスンを受け続けるのは大変だったと思います。どうして踏ん張れたんでしょうか。 木戸:もう根拠のない自信です。18~19歳ぐらいのときだったので、もう大丈夫! じゃないけど、売れるでしょ、みたいな。そう思わないとやれなかったですね。 ーー写真集の中のインタビューで、演技について「見ている人たちの心の中に既に存在している感情に対して、芝居が全然追いついていなかったらどうしようと思う時がある」とおしゃっていましたが、自分の人間性の成長度合いと演技は繋がっていると感じますか。 木戸:そうですね。自分が生きてる中でいろんな経験をしていたら、その分の引き出しっていうものが無意識にたくさん作られていたり、その経験を活かせる、材料というものが増えると思います。日常生活でいろんな感情を抱くことは、少なからず芝居を変えてくれる要素だと思います。
相手の言葉を引き出す訓練は、演技に活きている
ーー演技を磨くために、何かしていることはありますか。 木戸:人と話すことです。僕みたいなタイプは、例えば映画やドラマを観て抱いた感情を記憶しておくとか、インプットするっていうよりは、人と話して、そのとき抱く感情だったり、相手が抱いている感情を目の前で見て学ぶ方が、芝居に生かしやすいんです。だから人となるべく話すようにしています。 『おとうさんといっしょ』(NHK)などの番組で、一般の方と話す機会がありました。一般の方と話すとなると、やっぱり台本通り行かないとか、思った答えが返ってこないことがあります。どうやって引き出そう、どうやったら話しやすくなるだろう、と考えました。 共演者の方に言われていたのが、相手に伝わりやすいように自分で変えていいから、台本の文字にとらわれないようにっていうことです。それは役者をやってる身からしたら、普段と全く逆のこと。確かにその現場においては、一般の方が相手だから、一番伝わる言い方を考える必要がありました。特に子どもたちだったら、一番子どもたちがテンション上がる言い方っていうのを自分で考えなきゃいけない。パスする側が考えなきゃいけないっていう部分では、お芝居でセリフを相手にパスすることと一緒だと思うので、いかに相手が感情だったり言葉を言いやすくなるかを考えることは、一般の方とやり取りをさせてもらう中で学ばせてもらったと思います。 ーー『First Love 初恋』は俳優としての転機となりましたが、当たり役と巡り会うために必要なことは何だと思いますか。 木戸:最初はもう任せるしかないと思っていました。最初の頃オーディションを受けていた頃は、「受かるか受からないか」っていう考え方をしていて、受からないと「自分は駄目だったんだ」ってやっぱり思っちゃうんですけど、どこからか、その役に「ハマるかハマらないか」っていう考え方をするようになったんです。自分でいけるかもって思ったなら、とにかくハマりそうな人たちの中からちゃんと抜け出すために、どうやっていこうかって台本を見ながら格闘します。
木戸 大聖