宮間FWの奇策が失敗。自力突破消滅のなでしこ佐々木監督の采配に疑問。
準優勝を果たした女子W杯カナダ大会から凱旋した昨年7月7日。記者会見の席で、宮間は偽らざる本音を訴えている。 「W杯へ向けて数は少なくても充実した合宿、試合に臨めた。それとは裏腹に、もう少し試合をこなせていたら違った経験ができて、新たな力になったと思う」 もっと、もっと国際試合を積み重ねたい――。アジアのライバルが実力を伸ばし、肉迫されていると痛感していたからこそ、宮間はなでしこを代表して危機感を伝えた。 しかし、意を決した宮間の思いも日本サッカー協会には届かなかった。同じひな壇で、日本サッカー協会の野田朱美女子委員長は、宮間の発言に対して「どのような強化方針を取っていくのか、あらためて考えたい」と語るにとどめている。凱旋直後に大阪でリオ五輪のアジア最終予選が開催されることが決まっても、強化日程はいっこうに組まれなかった。結局、カナダ大会前から内定していた11月下旬の欧州遠征で、オランダ女子代表と1試合を戦っただけで最終予選に臨んだ。 年明けから石垣島などで3度、トータルで20日間の合宿こそ組まれたが、実戦なくしては連携の熟成はありえない。果たして、日本協会を挙げてなでしこをバックアップしてきたのか。昨夏からの軌跡を見る限りでは、首を傾げざるを得ない。 佐々木監督の采配にも疑問が残る。若手の新戦力を横山だけにとどめた今予選。日本開催ゆえにプレッシャーがかかり、ゆえにW杯ドイツ大会組の経験を重視したと指揮官は説明した。世代交代が進んでいないという批判を承知のうえで、指揮官は覚悟を貫いたはずだった。しかし、韓国戦ではDF岩清水梓、MF阪口夢穂(ともに日テレ・ベレーザ)らの世界一メンバーを先発から外した。 過密日程という事情もある。しかし、負けはもちろん、引き分けも許されない崖っぷちに立たされた状況だからこそ、蓄積疲労を承知のうえでベテラン勢に勝利を託してもよかったのではないか。 岩清水や坂口、そしてDF鮫島彩(INAC神戸レオネッサ)は、ピッチ上で宮間をフォローしてきた存在でもある。彼女たちが最後までベンチに座ったことで、宮間が背負う役割はさらに増した。