平和の尊さ実感 市川監督の五輪映画上映 黒部シアター【富山県】
黒部舞台芸術鑑賞会実行委員会の「黒部シアター2022春」は2日目の28日、市川崑監督による1964年の東京五輪公式映画が市芸術創造センターセレネで上映された。黒部シアターでは初の上映会で、ロシアのウクライナ侵攻など不安定な世界情勢の中、観客は平和と友情がテーマの映画を通じ平和の尊さをあらためて実感した。 市川監督の記録映画「東京オリンピック」は、個性的な演出方法から「記録か芸術か」との議論を呼んだ。実行委員会の堀内康男委員長が冒頭、「平和と友情ということに加え、日本と日本人のありようを考えさせる映画でもある。今こそ多くの人に見てほしい」とあいさつした。 東京国際映画祭チェアマンの安藤裕康さんが映画を解説し、「勝敗ではなく人間の内面を描き、観客についてもこだわり、見る者、見られる者の葛藤をもすくい上げている」と市川監督の代表作に挙げた。さらに、東京というまちを一つの主役に位置付けた点が大きな特徴だとした。 上映は貴重な35ミリフィルム映写機を使って行われ、約100人の観客はフィルムが回るかすかな音も伝わってくる中で、170分に及ぶ大作にじっと見入った。 28日は前沢ガーデン野外ステージで劇団SCOTによる「シンデレラ」の2回目公演も行われた。29日午前10時からセレネで安藤さんトーク・「東京オリンピック」上映の第2回が行われる。