ワクチン接種拒否者は罰金最大720万円!? スペイン・ガリシア州議会が可決
ワクチン接種拒否で罰金720万円!?
スペイン北西部でポルトガルと国境を接するガリシア州(人口300万人)の州議会は2月23日、ワクチン接種を拒否した人には罰金として1000ユーロ(12万円)から最高6万ユーロ(720万円)まで課すことができることを可決した。 同州議会は国民党(スペイン議会の野党第一党)が過半数の議席をもっており、同党だけの賛成で可決したもの。適用される罰金額はそれを拒否したことが公衆衛生にどれだけの悪影響を及ぼすかというその規模に依存するとした。 この決定に反対している野党は今回の決定は人権の基本を侵し、国の保健衛生基準に背くもので憲法裁判所で承認されないであろうと指摘した。 反対派のガリシア社会党のフーリオ・トラド議員は「ワクチン接種を義務付けることは交通事故を避けるために車を取り上げるようなものだ」と述べて、個人の権利と自由を束縛するものだとして州政府を批判した。(参照:「AS」)
2割の否定派がいるという理由での決定
このような決定を州政府が下したのには理由がある。昨年12月のワクチン接種が開始となった時点で行われた国家世論調査局によると、ワクチン接種を受けることを肯定していた人は僅か40.5%だったということだ。もちろん、その後、肯定派が次第に増えて1月中頃には72.5%に達し、最近の調査では82.9%まで上昇している。 しかし、それでもまだそれを拒否する人がいるということで、中央政府に先駆けて決定を下す姿勢の強いフェイホー州知事は州政府の与党の過半数の議席を利用して国でそれを決める以前に州議会で先に独自の決定を下したものだ。
肝心のワクチン接種は遅れる一方
ところが肝心のワクチン接種のスピードは、国全体で当初の予定から大幅に遅れている。 スペイン政府は夏が終了した時点で70%の国民がワクチン接種を済ませると計画していた。それはおよそ3300万人ということになる。しかし、現状の接種スピードだと9月の時点では国民の僅か28%しか接種が終了していないことになると、スペイン紙『ABC』は2月28日付の記事で報じている。更に同紙によると、国民の70%に到達するのは来年12月、100%に至るには2023年8月まで待たねばならない、と指摘している。 80歳以上の高齢者は3月末までに2回の接種を受ける計画になっているが、現状の接種スピードであれば、これも実現させるのは現段階では不可能である。 2月末の時点で2回目の接種を受けた人は僅かに120万人。人口比で見れば僅か2.6%でしかない。 当初の保健省の計画では80歳以上の高齢者の接種が終了した段階で、4月からは70歳から79歳の段階となり、次に60歳から69歳という段階に移るとしている。 しかし、80歳以上の高齢者への接種が既に大幅な遅れを見せている現状では70歳から79歳の4月からの接種というのも当然実現は無理ということになる。