ゴジラ上陸で消滅都市から楽園に!唯一無二の“絶景レストラン”も
「フロッグスファーム」の一角には、地域のコミュニティの場になるようにと、廃校になった小学校を再利用した施設「サキア」をつくり、1階を食堂にリノベーションした。利用者の多くは地元の人だ。 さらに、過疎化で行われなくなっていた年2回の地域の祭りも復活させた。「元々素晴らしい伝統・歴史があったが、お祭りを含め、地域の文化的な活動が衰退していく。僕たちが刺激を与えて、もう一度、復活・再生していく」(佐藤さん)。
6月中旬、兵庫・南あわじ市。佐藤さんは新たなプロジェクトとして、切り立った崖の上にイタリアンレストランをつくろうとしていた。テラスから崖を下りていくと、プライベートビーチのような海岸が広がっている。地元の人も寄りつかない、長年放置されていた場所だ。
「僕の飲食人生29年でワーストロケーションじゃない?」と話す佐藤さんが、店の責任者として指名したのが、関西で5店舗を統括するベテラン社員・髙上彬さん(42)だ。 佐藤さんは「野菜と海鮮を南あわじで開拓しないといけない。足で回らなあかんで」と助言し、髙上さんは「飲食業を20年以上やっている集大成。絶対にいい店、笑顔のあふれる店をつくりたい」と意気込む。 果たして、崖の上まで足を運んでもらえるような“特別な体験”を提供することができるのか。
淡路島“復活”の立役者パソナの次なる一手
一方、島の北部にある淡路市。この場所に、人気ゲームやアニメを題材にした体験型のテーマパーク「ニジゲンノモリ」がある。 自らが主人公となって冒険するアトラクション「ドラゴンクエスト」のエリアでは、ゲームの世界を再現しており、その中にあるレストランでは、ゲームのキャラクターに見立てたメニューを提供。「クレヨンしんちゃん」のアドベンチャーパークには、連日多くの家族連れが押し寄せている。
中でもイチオシが、実物大のゴジラの口の中へジップラインで飛び込むアトラクション。「活性化されている。前は何もないイメージだった」と驚く客も。 このテーマパークをつくったのが、人材サービス業界の大手「パソナグループ」だ。パソナは現在、淡路島で20カ所以上の観光スポットを展開しているが、そのきっかけになったのが1995年に起きた「阪神淡路大震災」だった。 甚大な被害を受けた後、淡路島の人口は約3万5000人も減少し、「消滅可能性都市」に分類された。そんな淡路島に、パソナは4年前、本社機能の一部を移転したのだ。 元々、本社の主要部門を担当してきた社員の3分の2以上、1300人が島に移転。家族と一緒に首都圏から移り住んだ社員も多い。