英国テニス協会は「トランスジェンダー女性」の国内女子大会参加禁止を決定!<SMASH>
イギリスのローンテニス協会(LTA)は、トランスジェンダー(出生時に割り当てられた性別と、自身で認識する性が一致していない人)女性の国内女子テニス大会およびパデル大会への参加を一部禁止することを決めた。 【画像】英国で開催されたウインブルドン2024で存在感を放った女子選手たち 英メディア『BBC』によると、LTAはトランスジェンダーとノンバイナリー(男性と女性といった枠組みに当てはまらない第三の性)の参加ポリシーを更新。ただし、新たな方針が適用されるのはイギリス国内のクラブ間の大会のみで、「ウインブルドン」や国際テニス連盟(ITF)、女子テニス協会(WTA)、男子プロテニス協会(ATP)トーナメントには影響しないとしている。 そのWTAのジェンダー参加ポリシーは、2021年発表の国際オリンピック委員会の資格枠組みを踏まえて更新。現在はトランスジェンダーの女性に対して、少なくとも4年間女性と申告し、テストステロン(男性ホルモンの一種)値を下げ、検査手順に同意する条件で参加を認めている。 思い出されるのは昨夏の騒動だ。全米テニス協会(USTA)が管轄する2つの女子大会で、トランスジェンダー女性のアリシア・ローリーが連勝。すると、アメリカの女性スポーツ独立評議会(ICONS)の共同創始者であるキム・シャスビー・ジョーンズ氏がSNSを通じて私見をポスト。「どうかポリシーとスタンスを変えてほしい。そして、女性たちとこのスポーツを見捨てないでほしい」と、ジェンダー女性の参加規定見直しを求めたのである。 これに同調したのが、四大大会通算18勝を誇るレジェンド、マルチナ・ナブラチロワだった。 「ちょっとUSTA、女子テニスはたとえ何歳だろうと、落ち目の男子アスリートのためにあるんじゃない。こんなの正しくないし公平じゃない。全米オープンでも認められるの? ID(身分証明書)だけで? 私はそうは思わない…」と以前からの主張を繰り返した。 他の競技に目を向けると、昨年3月には世界陸上が「女性選手の公平性を維持するため、思春期を経たトランスジェンダー女性選手は女子大会から除外する」と発表。水泳や自転車競技とともにパリ五輪でも出場禁止となった。 また、アメリカ女子プロゴルフ協会(LPGA)は、「男性として思春期を経たトランスジェンダー女性はツアーへの出場を認めない」と12月4日に発表したばかりだ。 なお、LTAの新たなルールが施行されるのは来年1月25日。出生時に男性と記録されているトランスジェンダーの女性は、イギリス国内のグレードの高い個人戦女子イベントに出場する資格がなくなる。このポリシー変更にあたって、LTAは次のように述べるとともに、今後も随時方針を見直していくとしている。 「相反する2つの責任、すなわち、『我々のスポーツにおける競争が公正であることを保証すること』と、『テニスが誰にとっても歓迎され、受け入れられるものであることを保証すること』のバランスを取らなければならなかった」 果たしてLTAの決定は、WTAやテニス界にどんな影響を及ぼすのだろうか。 構成●スマッシュ編集部