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揺れるArmの行く末 - NVIDIAが買収を検討、中国法人の内紛は泥沼化

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マイナビニュース

世界最大の半導体IPベンダーであるArmの経営が揺れている。1つは親会社のソフトバンクグループ(SBG)の業績悪化に伴う資産売却の一環としてArmの売却が検討されているという噂、もう1つは、Armの中国法人で起こった内紛の泥沼化である。 【画像】2016年当時のソフトバンクによるArm買収の概要 SBGの2020年3月期の連結最終損益は1兆4381億円もの赤字となった。孫正義会長兼社長が旗を振ったITベンチャー投資の失敗が響いた結果だが、業績悪化や株価低迷を受ける形で資産の売却を進めており、Armもその中に含まれているようである。 Arm売却の第1候補とされたApple SBGがArmを売却するという情報を最初に伝えたのは、米Wall Street Journal(7月13日付け)である。SBGに詳しい関係者筋の情報として、SBGは傘下のArmの完全もしくは部分的な売却、あるいは株式公開を行うことを含めた選択肢を模索しており、米ゴールドマンサックスが助言していると伝えていた。 その後、SBGはAppleにArmの売却を打診したが、興味なしと断られたため交渉に至らなかったと一部のメディアが伝えた。Appleは2006年よりArmアーキテクチャのライセンス供与を受け、iPhoneを含むApple製品向け低消費電力チップを設計している。2020年6月には、同社のカンファレンス「WWDC 2020」において、MacにもArmベースのAppleシリコンを搭載すると発表するなど、Armへの距離を縮めていたことからも、SBGが真っ先にAppleにコンタクトしたのはうなずける。 NVIDIAがArmを買った場合の影響は? SBGは2016年、Armを3兆3000億円という巨額買収を実施したが、今回の売却希望価格はこれを大きく上回る見込みであり、それだけの規模の金額を出せる企業は極めて限られることとなる。 8月に入り、世界中の多数のメディアが、Armの株式売却に向けて、SBGが米半導体大手のNVIDIAと交渉に入り、数週間以内の合意を目指していると伝えている。 NVIDIAのGPUはもともとはゲーム用途などで活用されてきたが、現在ではGPUコンピューティングとして、データセンター、自動運転車、AI(人工知能)などといった急成長領域でのアクセラレータとして活用されており、その勢いは時価総額がIntelを上回ったということでもうかがい知れる。 現状、NVIDIAはArmにとっては顧客の1社に過ぎない存在である。しかし、もしNVIDIAがArmを買収すればArmの中立性は確実に失われることとなる。Armの顧客の多くを占める半導体企業は、NVIDIAという同業他社からIPを購入する必要が生じるため、買いたくない顧客も出てくるだろう。もしそうなれば、Armの代替技術としてここ最近、期待が高まってきているRISC-Vに雪崩を打ってArmの顧客が移る可能性もある。 泥沼化するArm Chinaの内紛 2020年6月、Samsung Chinaの元社長で、元Samsungディスプレイ事業部門のトップも務めた人物が中国企業に転身したことが明らかになったが、その後、同氏は韓国内での激しいバッシングを受け、Beijing ESWIN Technology Group(ESWIN)のVice Chairmanの座を降りることでこの騒ぎを収めた。一方、同時期に起こったArm Chinaの内紛は、この2か月の間でさらにこじれて泥沼化が進んだ模様だ。 事の起こりは、Armが6月初めに中国法人Arm ChinaのAllen Wu(呉雄昂)最高経営責任者(CEO)を、従業員規則に反する不適切な行為が確認されたとして解任し、後任として暫定的に2名のCEOを任命したことに始まった。 この措置にWu氏は、同決議が合法的プロセスを経ていないと主張して退任を拒否。Arm Chinaの多数の従業員がWu氏の続投を支持したこともあり、対立が長引いている状況だという。7月28日にもArm Chinaの従業員約200名が署名した書簡が、中国のメッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」で公開され、英国企業であるArmがArm Chinaの顧客に接触し、既存契約を見直すか打ち切るよう強要したことをあきらかにしたと複数の米中メディアが伝えている。 従業員たちは、「合弁会社が1日も早く正常な軌道に戻れるよう、中国政府に介入してもらいたい」と訴えているという。Arm Chinaは、中国政府系ファンドが株式の51%、Armが株式の49%を持つ合弁企業だが、このような事態に陥ったのは中国政府の意向によるといわれている。もしも、中国政府が乗り出してくれば、米国のトランプ政権も黙ってはいないだろうし、ArmがNVIDIAという米国企業の一部になれば、米国政府はArm IPの(一部あるいは全部の)中国企業との取引を禁止する可能性もあり得ないとは言えないだろう。 服部毅 この著者の記事一覧はこちら

服部毅

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