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『ONE PIECE』鬼人を泣かせた“サンジのチャーハン”を完全再現! 憧れのマンガ飯を実食してみた

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リアルサウンド

 『ONE PIECE』(集英社)の熱心なファンにはすでにおなじみかと思うが、作中には主要人物・サンジが作るおいしそうな料理が多数登場する。 【写真】デービーバックファイト「屋台の焼きそば」などの完成写真  例えば「骨つき肉」。古くは『はじめ人間ギャートルズ』から『ドラゴンボール』などにも登場するマンガ飯の象徴的存在だ。私たちはしばしば、そんな劇中食の虜になる。映画やアニメ、漫画に出てくる食べものは、手が届かないこともあってか、やたらとおいしそうに目に映る。その憧れが動機となり、ためらいなくキッチンに立つこともあるだろう。  ただし、いざ架空の料理を家庭でおいしく再現するとなると、確かなレシピの存在が重要となってくる。その点で、『ONE PIECE PIRATE RECIPES 海の一流料理人 サンジの満腹ごはん』(集英社)には何の心配もいらない。本書で料理監修を務めた飯島奈美氏は、かつて映画『かもめ食堂』で劇中食を手がけた日本屈指のフードコーディネーターなのだ。覚えているだろうか、焼き立ての香りが漂ってきそうな、あのシナモンロールを。  飯島氏はその後も、映画『東京タワー』や、テレビドラマ『深夜食堂』『ごちそうさん』などで活躍。著書『シネマ食堂』では、人気映画に登場する料理のレシピを考案するなど、エンタメ作品と私たちの食欲を魔法のように料理で繋ぎ続けている。そんな氏が『ONE PIECE』の劇中食づくりを指南してくれるなんて、鉄板レシピ本間違いなしなのだ。  さっそくページをめくると、「瞬間満腹ごはん」「豪快!肉レシピ」「大満足ガッツリ飯」などパワフルな見出しが踊り出て、庶民的なメニューが並ぶ。各レシピにはイラストや劇中の台詞がふんだんに添えられているから、『ONE PIECE』を読んだことのない人でも料理が登場するシチュエーションを掴める楽しい構成となっている。  次項からは、実際に作ってみた料理を紹介していこうと思う。どれも家族3人で一気呵成にたいらげ、特に小学生の娘の胃袋をガッチリ掴んだことを前置きしつつ。 ■食いてェ奴には食わせてやる「チャーハン」 “どんな相手であろうと、腹ペコな奴にはメシを出す。それが料理人の仕事。サンジがギンに出したのは、手早く炒めた熱々のチャーハン。サンジの心意気に”鬼人”の目からも涙が溢れ出す”  本書のトップを飾るのは、第44話に登場する「チャーハン」。具材を炒めたら、フライパンに空けたスペースで卵を焼く。そこにごはんを入れてチャチャっと仕上げる。パラパラごはんの隙間に、ちょうどいい塩梅でコンビーフが散らばる。いちばんおいしいコンビーフの食べ方って、炭水化物に合わせることではないだろうか? これは、鬼人でなくともむせび泣く一品だ。  洗いものの手間まで減らせるこのワンパン料理には、サンジの料理人としての哲学と合理性も込められているように思う。 ■デービーバックファイト「屋台の焼きそば」  焼きそばといえばソース味、とだいたい相場が決まっているこの日本社会。しかし、デービーバックファイトの会場でルフィが食べた「屋台の焼きそば 」は、ケチャップとソースが絡むナポリタン風。ケチャップのコクと酸味が、ナシデンテな焼きそば麺にまったりと絡みつき、つい飲むように食べてしまう。ルフィのようにフォークでワシワシ食べるのも良さそうだ。 ■ルフィの大好物「骨つき肉」  憧れの骨つき肉を、スーパーで揃う身近な材料で作ろう。手羽元にジョキジョキとキッチンバサミを入れてチューリップ状にし、ゆで卵をしのばせたらひき肉のタネで包んでオーブンで焼く。よりマンガの肉らしさを出したいと思い、骨についた肉やスジを、ハサミの刃ですっかり削ぎ落としてみた。気分はマンガ肉職人である。  焼き上がったものはまさしく、 “「骨ついた肉のやつ!!!」”  ハンディサイズのマンガ肉の完成だ。コンパクトかつインパクト大。手で持って豪快にかぶりつくと、塩胡椒のみというシンプルな味付けゆえ、意外とアッサリ。大好きな塩つくねをこんな形で思う存分食べられるなんて、思いがけず、ちっぽけな夢が叶ってしまった。  カットすると卵がこんにちは。ミートローフのような構造になっているから、切って食べても楽しい。  がむしゃらにかぶりつき、すっからかんの骨を片手に「これもう一度食べたいんだけど」と、娘がつぶやく。「んだけど」に込められた遠慮がちかつ強めの指令、しかと受け止めた。子どもの誕生日会で出したらみんな大喜びだろうなあと、ちょっと未来の想像をしながら。 ■ヤガラブルの好物「水水肉むし」と「尾田先生大好物のシーチキンおにぎり」  続いても骨つき肉に挑戦してみよう。 “「水の都」と名高いウォーターセブンの名物。澄み切った水に漬けたその肉は、口に入れたらとろ~りとろける!!”  大好きなスペアリブを、これまたシンプルに塩味で蒸す。珍しい調味料がいらないのも本書のよさだ。ひと手間加えたポン酢ダレが、脂からにじむコクをアッサリ優しく受け止めてくれる。  主食は、「尾田先生大好物のシーチキンおにぎり」。といっても具はありきたりなツナマヨにあらず。まるで、田舎のおばあちゃんがこしらえてくれたカツオ味噌を彷彿とさせる和のテイストなのだ。 “数々の料理に挑戦してきたおれの中で、最もスペシャルな秘技”  とサンジが言う通り、誰の家にもきっとある、とある調味料が味の秘訣。おにぎり界の秘宝に降参。 ■湖畔キャンプの「焼き石シチュー」 “最高の料理人はサバイバルの達人でもある!!空島サバイバル中の料理は、鍋に肉と野菜をぶち込んだシチュー”  家にいながらアウトドア気分になれそうなこのシチューは、なみなみと注ぐ赤ワインで作る。酒には10年早い娘も、すっかりアルコールが飛んでいるからか、スプーンが止まらない。そして再び聞こえた「これもう一度食べたいんだけど」。みるみる減るバゲットが、その気持ちを代弁しているかのようだった。  一晩寝かせたらよりリッチさが増し、皿まで舐めたい濃厚シチューと化したことも書いておこう。 ■トムズ ワーカーズ「ココロのカレーライス」  今、市販のカレールウは各社が競うように味をレベルアップしており、どれも文句のつけようがないぐらいおいしい。見た目も高級志向の表れか、ビーフシチューかと見まごうほど焦げ茶色寄りのものが増えているように思う。でも昭和生まれの私は、やっぱりカレーといえば黄色を連想する。キレンジャーや秀樹も思い浮かぶ。そうして黄味が強いカレーライスが食べたくなると、S&Bの赤缶カレー粉を頼りに自作する。  本書はそんな日本のカレーをイチからつくる楽しさも教えてくれる。見た目も懐かしいカレーライスは、劇中では造船会社「トムズ・ワーカーズ」の美人秘書ココロが出す一品だ。  具材は”肉じゃがオールスターズ”ともいえるメンバー構成で、福神漬けとらっきょうが皿の上で友に寄り添う設定も外せない。コップの水にはぜひスプーンを突っ込もう。これでスプーンが清められるとか、反射光でインスタ映えするとか、なにかに対して確たる効果があるとは思えないけれど、まじないをかけたようにカレーが一層おいしくなる。  うっかりガッツリ茶色系メニューに終始してしまったが、本書には「いなり寿司」や「タコ焼き」「シーフードリゾット」などのごはんものから、おかず、スイーツまで全40レシピが収録されている。今度は海賊らしい魚介系メニューにもトライしてみようと思う。 ■マンガのごはんは楽しい  思い起こせば『トムとジェリー』の穴開きチーズに始まり、『ドラえもん』のどら焼きや『ルパン三世 カリオストロの城』のミートボール・スパゲッティ、ジブリ飯の数々、実写作品なら最近では『ダンケルク』のジャムトーストや『ストレンジャー・シングス』のワッフルなど、心に残る劇中食は枚挙にいとまがないが、いずれもその食べものが持つ魅力抜きには作品を語れない。むしろ作品を語るときに頬張りたいものばかりだ。本書のレシピがあれば、『ONE PIECE』の魅力がさらにブーストされ、目と舌を通して作品の世界観がさらにリアルに感じられるだろう。

大信トモコ

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