日本政府、次のパンデミックへ態勢整備 医師会「医療機関と自治体協定も増加」 新型コロナ中国公表から5年
中国の武漢市当局が2019年12月に、後に新型コロナウイルス感染症とされる原因不明の肺炎を公表して31日で5年。日本政府は新型コロナの教訓を踏まえ、次なるパンデミックに備えた法改正や組織改編を進めてきた。日本医師会の釜萢敏副会長は、都道府県と医療機関の間で病床確保数などの協定の締結が着実に増えてきていると指摘する。 協定の締結は令和4年に成立した改正感染症法で、病床確保数などの計画を都道府県が事前に策定し、感染症に対応する医療機関と協定を結ぶ仕組みが定められたことを受けたものだ。感染症の流行時などに、速やかな病床確保や重症患者への対応につなげる狙いがある。釜萢氏は「目標数に対して締結実績が120%に達したところもある」と説明する。 来年4月に立ち上がる「国立感染症研究所(感染研)」と「国立国際医療研究センター(NCGM)」を統合した新たな専門家組織「国立健康危機管理研究機構(JIHS)」は情報収集や分析で得られた科学的知見を〝司令塔〟となる内閣感染症危機管理統括庁などに提供する役割を担う。 釜萢氏は「(感染拡大に)対応できる体制に改めていく動きは着実に進んでいる」と評価する。 今後の課題は、いつ起こるかわからないパンデミックに対し、平時からの備えを怠らないことだ。釜萢氏は検査キットなどの医療器材の確保を不断に行う必要性を強調する。発熱外来などの対応についても医療機関が継続的にトレーニングを行い、能力を高めていくことが求められる。(大島悠亮)