ブリヂストンの新型タイヤ「BATTLAX SPORT TOURING T33」がすごい!摩耗ライフが47%向上
ブリヂストンのモーターサイクル用新型タイヤ「BATTLAX SPORT TOURING T33」がメディア向けに初公開された。今回のT33はずばり“ロングライフ”が最大のウリ。前作のT32の性能を維持しながら耐摩耗性を大幅に向上させているのが特徴だ。ちなみにT32は重量車向けにT32GTを別設定していたが、新型のT33はワンスペックだけで車両重量に関わらず幅広い車種に対応している。 【画像全40枚】 開発を担当したブリヂストンの上野氏は「安心感のあるハンドリングで、ワインディングやツーリング中の急な雨でも不安なくコントロールできるように仕上げました。先代のT32と同様に、バイクの乗るすべてのライダーにおすすめです」と語る。天候や季節、距離を問わず、いかなる条件下でもツーリングの楽しみを足元から支えるというコンセプトだ。 ◆新開発コンパウンドによって耐摩耗性が向上、安心感の高いハンドリング性能を両立する 開発のポイントとして、まず注目したいのは耐摩耗性を高めるためリアタイヤのセンター部に“新開発コンパウンド”を採用したこと。コンパウンドとはゴムのことで、そこに含まれるシリカやカーボンの分子をポリマー(高分子化合物)によって繋ぎとめている構造になっている。 上野氏によると「タイヤの摩耗はコンパウンドが路面に食い付き、それが離れたときにゴムが千切れることで発生する。簡単にいうと、ポリマーが切断されることに起因しています」とのこと。そこに着目し、T33では強く切れにくいポリマーを採用、切断されにくく摩耗しにくいコンパウンドが生まれた。ただし「やりすぎると今度はタイヤが路面に食い付かなくなってしまう」ため、T33ではポリマーを強化しつつも摩耗が少ないコンパウンドの開発に成功したという。細かい技術に関してはもちろんシークレットだ。 またフロント&リアに新設計パタンを採用し、溝/ブロック比率とパタン剛性の最適化を図った。新設計のパタンデザインでは重量車向けだったT32GTをベースに溝比率を最適化し、ロングライフと常用域におけるウェット性能を高次元で両立している。もう少し詳しく説明すると、ウェット重視で溝が多かったT32の柔らかいパタン剛性からT32GTのような固いパタン剛性へと見直されている。 フロントは従来よりも力を出しやすいパタン剛性に、リアもショルダーからエッジにかけての剛性をなだらかに均一化し、バンク角による変化を少なくしているとのこと。構造的にはフロントを「クロスベルト」リアを「MSベルト」とし、柔軟性としなやかな剛性を両立させることで、車重を問わず様々な車種に適合させた。 形状に関してはフロント&リアともに定評のあるT32のプロファイルを踏襲することで、最適化されたグリップと安定性、ハンドリングを確保している。このように最適化されたパタン剛性とリアの新コンパウンド、そしてタイヤ内部構造の最適化を組み合わせることで穏やかで安心感のあるハンドリングを実現した。 ◆摩耗ライフは47%向上、より小さな舵角で曲がれることが大きな変化に 自らツーリングライダーという上野氏がハンドリングについても語ってくれた。「濡れた路面ではつい腕に力が入ってしまいますよね。ハンドルの切れ込みが大きすぎるとライダーは不安を感じるため、コーナリングでは舵角の入りを抑える方向で仕上げました」とのこと。 例えば同じコーナーで比べた場合、T33はT32より小さな操舵角で曲がることができる。またT33のほうがコーナリング中のハンドルの振れが少ない。T32対比でT33は約10%少ない操舵角でコーナーを通過できるそうだ。 「コーナリング中のハンドルの振れも抑えられるので安定感があり、ウェット常用域における安心感も向上しています」とのこと。ちなみにプロファイルはT32と同じなのに操舵角の変化率が少ない理由として「構造の最適化」が最も効いているということだった。 これらの技術と知見を注ぐことで、トータル的なパフォーマンスとしてドライ路面ではT32を上回り、ウェット路面でもT32同等レベルを維持。摩耗ライフに関しては前述の通り、T32対比で47%という驚異的なスペックを実現している。 今から期待も高まるT33の気になる発売時期だが、一般的な17インチサイズについては2025年2月1日発売(価格未発表)を予定。その他のサイズも、2026年以降に順次発売予定となっている。
レスポンス 佐川健太郎