熊本市長が「医療非常事態」宣言 コロナ病床「ほぼ満床」
熊本市の大西一史市長は10日、臨時記者会見を開き、新型コロナウイルスの感染拡大により感染者が入院する市内の病床が「ほぼ満床状態」として、市独自の医療非常事態宣言を出した。大西市長は新型コロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言を国に要請するよう、蒲島郁夫知事に求めたことも明らかにした。 医療非常事態宣言は同日、市が開いた新型コロナ感染症対策本部会議で決めた。大西市長は「市内の医療体制は崩壊寸前の危機的な状況」として、重症化リスクがある人やその家族に不要不急の外出自粛を呼び掛けた。 市によると、8日時点の市内医療機関のコロナ病床稼働率は84・9%。妊婦など特別な配慮が必要な人のために確保した病床を除くと稼働率は95・7%となり、医療提供体制は逼迫[ひっぱく]している。 重症・中等症の患者数は昨年12月1日の7人から、46人(1月9日現在)に急増。感染者の増加に伴い、陽性確認後すぐに医療機関や療養施設に入れない感染者は、8日時点で116人に上る。高齢者や基礎疾患がある重症化リスクの高い人も22人含まれる。
大西市長は「この状況が続けば救急医療や通常医療に重大な影響を与えかねない。危機意識を共有し、感染拡大を食い止めたい」と強調。市民に対し、午後10時以降の不要不急の外出自粛や、在宅勤務の推進による出勤者数の5割削減、同居家族以外との会食を控えることなどを求めた。(久保田尚之)