菊池風磨主演「バベル九朔」現実と夢のギャップにつけこまれる人々…… 不可思議な原作の魅力を解題
君の感情全て出し切って飛び込む皆さん、こんにちは。ジャニーズ出演ドラマ/映画の原作小説を紹介するこのコラム、今回は風磨くんが何度もビルから落ちたり高地くんが何かに食べられちゃったりするこのドラマだ!
■菊池風磨(Sexy Zone)・主演、高地優吾(SixTONES)・出演! 「バベル九朔」(2020年、日テレ)
原作は万城目学の同名小説『バベル九朔』(角川文庫)──なんだけども。いやあ、これ原作とドラマ、ぜんぜん違うな? どこから説明しようかな。うん、まずはドラマの設定から見てみよう。 脚本家を目指す九朔満大は、執筆に専念するため1年間限定でビルの管理人を務めることに。高校時代からの親友・後藤健と一緒に雑居ビル「バベル九朔」に住み始めた。このビルを建てたのは満大の高祖父だという。ある日、地下の物置に入ろうとした満大は、突然奇妙な光に包まれ、意識を失う。目を覚ますとそこは前と変わらぬビルの中に見えたが、どこからともなく現れた白い服の少女が、「ここはバベル。現実じゃない」と告げた。 少女が言うには、バベルの中では望みが何でも叶うらしい。けれどそれは罠で、人を偽の夢で釣ってバベルが取り込んでしまうのだという。安穏な夢の中で、「僕はここにいる」と言ってしまうと途端にバベルが牙を剥き、その胎内へと引きずり込まれてしまうのだ。満大は、ビルのテナントさんたちがその夢に騙されかけるのを懸命に阻止し、現実世界に連れ戻す。しかし親友の健はバベルに取り込まれ、そして……。 ──というのがドラマのあらすじだ。かつてビルの管理人をしていた父親の記憶や、バベルの中で満大を攻撃してくる謎のカラス女など、今後、物語に大きく絡んできそうな気配はあるが、第5話までは一話完結タイプでそれぞれのテナントさんがバベルの偽の夢に囚われ、それを助けるため満大が奔走するという内容だった。 第6話から現実世界ではない〈バベルの世界〉での物語が大きく動き始めた。そして気になるのは第3話でバベルに取り込まれてしまった高地くん演じる健の運命だ。彼はどうなるの? 助かるの? ──わからない。だって健は原作に登場しないんだもの! いや、そもそも各テナントさんがそれぞれの過去や夢をバベルにつけこまれ、取り込まれそうになるという話も原作にはまったく出てこないのだ。