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タイ、止まない「王室改革」の声─タブーに踏み込んで訴えたい若者たちの主張

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クーリエ・ジャポン

「微笑みの国」というイメージとは裏腹に、軍事クーデターや、王室への不敬罪で最長15年の禁錮が科される側面も持つタイ。いま、若者たちが政府と王室への不満を次々と爆発させている。彼らが怒りを抑えきれない理由はどこにあるのか? 最新状況を共同通信記者・佐藤大介氏が解説する。 タイで、軍政の流れをくむプラユット政権の打倒を掲げた大規模なデモが続いている。2014年の軍事クーデターで権力の座についたプラユット氏が、民政復帰に向けて行われた19年の総選挙後も首相であり続けていることに対し、学生らが強く反発していることが背景にある。だが、デモ参加者からは、これまでタブーとされていた王室改革を求める声も上がっており、政権と王室に対する批判が先鋭化している状態だ。 タイ政府は、首都バンコクに非常事態宣言を出し、5人以上の集会を禁止する強硬策に乗り出しているが、デモ参加者は強く反発しており、事態収拾のめどはたっていない。 「微笑みの国」でいま、何が起きているのか。

集会禁止を無視し、5千人が交差点に集合

「プラユットは出ていけ」 「われわれの友人を釈放しろ」 10月15日、高級百貨店などが集まるバンコク中心部の商業地区、ラチャプラソン交差点に学生ら約5千人が集まり、プラユット政権への抗議の声を上げた。前日には、1万人以上が首相府に向けてデモ行進して政権打倒を訴えたが、タイの警察当局はデモを主宰する団体の中心的メンバーら約20人を逮捕。たたみかけるように非常事態宣言が出されたが、5人以上の集会禁止を無視する形で抗議集会を強行したのだった。 デモ参加者が3本の指を突き出すのは「反独裁」のポーズだ。反政府集会は、新型コロナウイルスの感染拡大によって一時中断されていたが、7月末から本格的に再開し、9月には約5万人が集まる大規模集会を行っている。 プラユット政権に反発する機運が高まったのは2020年2月、若者の絶大な支持を集めた野党「新未来党」に対し、違法な政治資金があったとして憲法裁判所が解党を命じたことがきっかけだった。軍を批判し、徴兵制撤廃などを掲げた新未来党は19年の総選挙で約80議席を獲得し、結党からわずか1年で第3党に大躍進して注目を浴びた。 憲法裁判所は軍の影響下にあると言われており、解党命令のほか新未来党のタナトーン党首ら幹部16人の政治活動を10年間禁じる決定を下したことから、政権による「反対派への弾圧」との批判が高まり、各地の大学で若者による抗議集会が自然発生的に起こっていた。

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