岐阜で救急車全焼事故、運転の隊員は「仮眠できていなかった」 「地域事情」で過酷勤務に拍車
岐阜県下呂市内で救急車がガードパイプにぶつかって全焼する事故が発生し、運転していた20代の救急隊員は、20時間余り連続で働き、仮眠がほぼできていなかったことが分かった。 【画像】「医師不足は深刻な問題」と下呂温泉病院 同市消防本部が取材に対して明らかにした。事故原因は分かっていないが、過酷な勤務の背景には、ある深刻な地域事情があることも浮き彫りになった。 ■スリップ痕確認できず、事故原因は不明で「捜査中」 国道41号線の道路左側のガードパイプにぶつかった救急車は、赤い炎を上げ、燃え続けている。報道によると、2024年12月10日午前5時前の早朝、近くの住宅にまでパンパンと何度も破裂音が響いたという。 約1時間後に消し止められた後は、白い救急車が真っ黒になり、見るも無残な姿になっていた。 この単独事故で、乗っていた6人の中で、県立下呂温泉病院の医師2人のうち1人が足の骨を折り、看護師と助手席の隊員がそれぞれ足や肩を打撲するケガをした。救急車は、隣の高山市にある高山赤十字病院に心疾患の患者を転院搬送し、サイレンを鳴らさない一般走行をして下呂温泉病院などに戻る直前だった。 運転していた隊員は、居眠り運転の可能性があると一部で報じられた。下呂署では11日、スリップ痕は確認できなかったものの、事故原因は分かっておらず捜査中だとJ-CASTニュースの取材に答えた。 事故原因について、下呂市消防本部の予防課は同日、警察が隊員に事情を聴くなどしているところで、まだ確定した情報はないと取材に説明した。 市消防本部によると、運転していた隊員は、9日午前8時30分から消防署で勤務し、仮眠については、翌10日午前0時30分から7時までの予定だった。ところが、0時50分に今回の患者宅に向かう救急出動があり、この隊員も出動に参加した。 「仮眠時間になっても、すぐに寝る隊員もいれば、寝ない隊員もいます。このときは、寝ても20分ぐらいなので、この隊員は、ほぼ寝ていないのではないかと思います」