なぜ日本人選手は“得点感覚”がないのか? ダビド・ビジャが考える「得点力不足」の深い理由
1年前に惜しまれつつも現役を引退したダビド・ビジャは、現在もスペイン代表最多得点記録を保持する世界的な名ストライカーとして名を馳せている。彼が代表を務める「DV7サッカーアカデミー」で実践されているメソッドをまとめた書籍『ダビド・ビジャのサッカー講座 試合で活躍するために大切な11科目』(KADOKAWA)では、彼の真骨頂である得点について語られており、日本人プレーヤーが長年の課題とする得点力不足についても、その「理由」に言及している。 (文=川原宏樹、写真=Getty Images)
174cm・68kgの偉大なストライカーが語る「コツ」
2020年1月1日に行われた天皇杯決勝を最後に現役生活にピリオドを打ったダビド・ビジャ。プロとして440得点を挙げた名ストライカーで、スペイン代表としては59得点を挙げており、その得点数は歴代最多得点で現在もなお破られていない。サッカーファンであれば誰もが知る世界的な名ストライカーは、「私にはサッカーでゴールを決めるという神様からのギフトが与えられていました」と、自身には才能があったと語っている。 しかし、ビジャは174cm・68kgという体格でアスリートとしては決して恵まれているほうではない。同書で子ども時代について、「幼少期から体が細くて小柄なほうでした。体の大きい相手に倒されることが多く、勝てない日々が続きました」と体格差で劣っていたことを認めている。 それでは、なぜこれほど多くのゴールを決めてこられたのだろうか――。 「シュートのコツやゴールの秘訣を聞かれることも多々あります。しかし、改めて明かすようなことは何もありません。私は小さい頃から前線でプレーすることが多かったのですが、それはゴールを決める才能があったからなのです。その才能を日々のトレーニングで磨いてきました。シュートを決めるためには、全力でトレーニングに取り組むことを繰り返すしか方法はありません」 ビジャに得点感覚という神様からのギフトが与えられていたことは間違いないだろう。ただ、その曖昧で抽象的な才能を磨いて確実なものにした要因が、反復と努力だった。小さな頃から誰よりもシュートを打ってきたビジャは、どうすれば決められるかを常に考えながら挑み続けたことで、プロ通算440得点という偉大な記録を生み出したのだ。