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できるのにためらう部下 「失敗を恐れさせない」ための2つのポイント

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NIKKEI STYLE

《連載》モチベーションの心理学

「心の法則を読み解く心理学は、ビジネスのあらゆる局面にかかわってくる」。心理学者であり、MP人間科学研究所代表を務める榎本博明氏はこう話します。心理学の知見をビジネスの様々な局面で生かせるようにQ&A形式でまとめた最新刊『ビジネス心理学大全』(日本経済新聞出版)から、「chapter1 モチベーションの心理学」の章を紹介、「どうしたらやる気が高まるのか」を考えていきます。

Question

人柄的にはまじめで、それなりに仕事もできる部下がいるのですが、重要な仕事を任せようとすると躊躇(ちゅうちょ)するようです。どうしたらもっと積極的な姿勢を取らせることができるでしょうか?

部下がもっと積極的になってくれたらよいのに、どうも消極的すぎる。そのような不満をもつ経営者や管理職が多くみられます。自分自身がやる気に燃えるタイプであるほど、そうした思いは強いはずです。 まだ仕事に慣れず、要領よくこなせない人物が躊躇するならわかるけれども、それなりにこなせているし、能力的にも問題ないと思うから新たな仕事や重要な仕事を任せようとするのだが、そのつど躊躇し、 「今抱えている仕事もまだ十分こなせていないので、もう少し今のままでいさせてください」 「だれか他の方にお願いできませんか」 などと言って逃げようとする。自分だったら、「これはチャンスだ!」と飛びつくはずだが、なぜそのように躊躇するのかわからない。いったいどのような心理メカニズムが働いているのか、そこを知りたい。そのように尋ねられることがあります。

■成功を夢見るか、失敗を恐れるか

そのような疑問を抱く人は、きっと非常にモチベーションが高い人なのでしょう。これはチャンスととらえて思い切ってチャレンジする人もいる一方で、まだチャレンジする自信がないと躊躇する人もいます。その違いはどこにあるのでしょうか。 そこで重要となるのが、人間を動かす動機を2つに分けて考えることです。何かにチャレンジしようかどうか迷う際に、心の中では2つの動機のせめぎ合いが生じています。 それは、成功追求動機と失敗回避動機です。 心理学者のアトキンソンは、一般にモチベーションというときに想定されている成功追求動機に対して、失敗回避動機というものを想定し、この2つの力関係によって課題遂行への姿勢が決まると考えました。 何かする際に、「うまくいったらどんなに素晴らしいだろう」という思いと同時に、「もし失敗したらどうしよう」といった思いが脳裏をかすめます。前者は成功追求動機による心の動き、後者は失敗回避動機による心の動きと言えます。 できるなら思い切ってチャレンジして成功を手に入れたいと思うものの、できたら失敗は避けたいとも思う。そのバランスが人によって違ってきます。どちらがより強いかによって、積極的にチャレンジしようとするか、チャレンジするのを躊躇するかが決まるのです。 新たな仕事や重要な仕事を任されることを躊躇する人物は、成功追求動機より失敗回避動機の方が強いタイプと言えます。一方、そのような人物を見て物足りなく思ったりいらだったりする人物は、失敗回避動機動機より成功追求動機の方が強いタイプと言えます。

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