起業家や芸術家ら超一流から「成功の秘訣」を聞き出すための、12の「正しい質問」
ひとりの高校生が著名な大物たちに取材できた理由
アパトーは、『俺たちニュースキャスター』『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』『40歳の童貞男』など、当時最もヒットしたいくつものコメディ映画で脚本・監督・製作を担当してきた人物だ。 アパトーはどうやって自分の作品の製作技法を身につけてきたのだろうか? それはアパトーが敬愛するすべてのコメディアンの優れた点を、体系的に紐解いて分析することによって得られたものだ。 アパトーの秘密兵器は、リスナーが1人しかいないラジオ番組だった。 アパトーは高校時代、お笑いの大ファンで、同年代の友人がロックスターに夢中になる中で、彼はコメディアンに夢中になっていた。お笑いのレコードを集め、お笑いのTV番組をもとに1週間の計画を立て、夏休みには地元のコメディクラブで皿洗いのバイトをした。 そしてほんの気まぐれで自分の学校のラジオ局に参加したとき、そこで彼は興味深いことに気づいた。そのラジオ局の高校生DJは、いくつもの大物バンドのインタビューに成功していたのだ。 アイデアが浮かんだのはそのときだった。だったら自分でラジオ番組をつくって、お笑い界の大スター一人ひとりから、キャリアについてのアドバイスをもらえばいい。 「エージェントや広報の人に電話して、僕はロングアイランドのWKWZラジオのジャド・アパトーだけど、彼らの顧客のコメディアンにインタビューしたいって伝えたものだよ。自分が15歳だってことは言わなかった。だって、コメディアンの代理人の大半はロサンジェルスにいるんだから、うちのラジオ局の電波がかろうじて家の駐車スペースを出たあたりまでしか届かないなんて、わかるわけがないんだから。それで僕がインタビューに出向いていって、ようやく騙されていたことに気づくってわけさ」と、アパトーはのちに書いている。
アパトーが聞き出した大物たちの「成功の秘訣」
この計画は非常にうまくいった。それからの2年間、アパトーはコメディ界の大物たちにインタビューし、どのようにしてネタを考えているか、どうやってエージェントを見つけたか、さらには有名になるための最適な方法まで、あらゆることを聞き出した。 インタビューには、ジェリー・サインフェルド、ギャリー・シャンドリング、ジョン・キャンディ、サンドラ・バーンハード、ハワード・スターン、ヘニー・ヤングマン、マーティン・ショート、(ウィアード・アル)ヤンコビック、ジェイ・レノが応じてくれた。 これらのインタビューでアパトーは3つのことを学んだ。 1.自分のスタイルを見つけて軌道に乗せるには7年かかる 2.3日と空けずパフォーマンスを行っていないと腕が鈍る 3.新人コメディアンが技術を磨くためにできることでいちばん重要なのは、できるだけ頻繁にステージに上がってステージ慣れすること アパトーが録音したインタビューの多くは、いっさい放送されることがなかった。それもそのはず、彼はラジオ番組をつくる気など毛頭なかったのだ。 高校を卒業する頃には、アパトーは自身が「ブループリント」「バイブル」と呼ぶジョークのネタ帳を完成させ、自分のスタイルを磨いて、キャリアを築いていくための材料をしっかりと集めていた。 成功者にインタビューするのは、次に紹介する「正しい質問内容」を用意すれば、その成功の秘訣を探る効果的な戦略となり得る。ラジオ局のDJのふりをする必要もない。ブログやポッドキャストがこれほど急成長している今の世の中であれば、専門家と話をするのもさほど難しくないだろう。