公開35周年!「バック・トゥ・ザ・フューチャー」日本語吹替版 /字幕版 公開記念 三ツ矢雄二インタビュー
1980年代ハリウッドを代表するヒット作として、いまだ人気衰えぬ「バック・ トゥ・ザ・フューチャー」(以下、「BTTF」)三部作。劇場公開から35周年を迎える今年、4Kニューマスター版の登場にあわせ、三ツ矢雄二が主人公 マーティ(マイケル・J・フォックス)の声を担当した日本語吹替版が、初めてスクリーンで公開されることとなった。そこで三ツ矢氏に、「BTTF」の魅力やアテレコ当時の思い出をあらためて語っていただいた。
役とシンクロして演じたアテレコ現場
― 三ツ矢さんがマーティを演じた『日曜洋画劇場』バージョンの初放映は1989年でした。当時、「BTTF」という作品についてはどのような印象を持たれていましたか? 三ツ矢 公開時に劇場で観て、やっぱりすごく面白かったですね。と当時に、このマイケル・J・フォックスの役は自分に合っているんじゃないか、ぜひやってみたいな、と思ったんです。ただ、こんな大作はやらせてもらえないだろうな、と。
― マイケルはそれ以前にTVの『ファミリータイズ』(1982~87年に放送されたアメリカの人気シットコム。日本でも86~87年に放送された)でも人気でしたが、映画スターになった のは「BTTF」からですね。 三ツ矢 ええ。大ヒット作で、マイケルの人気が急上昇した作品でもあったので、日本語版をつくるにあたっては誰に吹き替えをさせるか、TV局のほうでも侃々諤々あったようです。有名なスターにやらせるのがいいんじゃないか、とかね。同じ頃、僕は「ティーン・ウルフ」(85)という映画で主演のマイケルの声を担当することになったんですけど、あとで聞いた話では、それは一種のオーディションで、そこで大丈夫そうだったら「BTTF」に起用しよう、という流れができていたらしい。だから僕にとっては「ティーン・ウルフ」がなければ「BTTF」もなかったんですよ。
― 僕も当時リアルタイムで観ていましたが、『日曜洋画劇場』での三ツ矢さんの吹き替えと いえば、「BTTF」の少しまえに放映された 「アマデウス」(84)のトム・ハルス(モーツァルト)も印象的でした。 三ツ矢 「アマデウス」はものすごく苦労しました。オーディションのときに、トム・ ハルスの独特の笑い方をどう表現するか という試験があり、役が決まってからは 自宅でひたすら笑い方の練習をしていて、近所の人はそうとう変に思っていたんじゃないかな(笑)。ほかにも自分とはまったく違う面を持った役だったので、非常に悩みながら演じていたのを憶えています。その点、「BTTF」のマーティはわりと普通の少年で、すごく親近感をおぼえました。僕は英語はできないけど、もし自分があの役をオファーされたとしても、すんなりマーティになれるんじゃないか、という感覚があった。アテレコのときにも、画面上のマイケルの動きに合わせて手を上げたり飛び上がったり、シンクロしながら楽しんで演じていました。