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社説[相次ぐ辺野古発言]12年も待てというのか

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沖縄タイムス

 名護市辺野古の新基地建設を巡って、与党自民党の幹部から、検証の必要性を認めたり、計画の見直しを提案する声が上がっている。  「辺野古が唯一の選択肢」だと繰り返し、県の対話申し入れを無視して工事を強行する政府の姿勢とは、一線を画すものだ。  自民党の石破茂元幹事長は、共同通信加盟社の論説研究会で講演し、状況の変化を踏まえた検証の必要性を強調した。  「とにかく進めるんだということだけが解決策だとは思っていない」。石破氏の発言は、総裁選をにらんで安倍晋三首相との違いを意識したものといえよう。  中谷元・元防衛相は、県庁で玉城デニー知事に会い、「私案」を提示した。  辺野古の新基地を米軍、自衛隊、民間が使用する「軍民共用」の飛行場として整備する、という案だ。  防衛問題の専門家である2人の発言の背景に、一体、何があるのか。  軟弱地盤の改良工事によって、工期は12年に延び、事業費は9300億円に膨らむと試算されている。「時間」と「コスト」の両面で、絶望的なほど計画が変わったのだ。  地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画は、技術開発に要する「時間」と「コスト」がかかり過ぎる、との理由で中止が決まった。  辺野古の「検証」や「見直し」の必要性は、自民党幹部でさえ認めざるを得なくなっているのである。 ■ ■  自民党内で次期総裁選やポスト安倍を巡る動きが活発化しており、それと連動した動き、だとの見方もある。  総理をめざす政治家が現政権と異なる新しい政策を打ち出すのは当たり前のこと。自民党内で辺野古を問い直す動きが広がるのを歓迎したい。  ただし、中谷氏の「軍民共用論」は時間とコストがかかり過ぎるという致命的欠陥を解消するものではない。  へたをすると時間もコストもさらに膨らみかねない。なぜ「軍民共用」を蒸し返すのか、真意が分からない。  石破氏は「普天間が今のまま続いても、米国はちっとも困らない」とも語った。  だが、街のど真ん中にある普天間飛行場は「運用上の制約が多く安全性の面でも問題」だと米軍側も早くから認めていた。それが返還合意を可能にしたのである。  普天間の固定化をうんぬんするのは、政治の堕落というしかない。 ■ ■  普天間第二小学校の運動場脇には、ヘリからの落下物などから身を守るため、避難施設が設けられている。  米軍ヘリが運動場上空を飛行すると、児童がそこに一時避難するのである。こんな戦争中のような施設がほかにあるだろうか。  1996年に日米両政府が返還に合意したにもかかわらず、これからさらに12年以上も住民を危険にさらすなんて、政策としてありえない。  県は、一日も早い危険性除去のための具体的政策の立案を政府に求めるべきだ。転換の機会を逸してはならない。

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