選手権の常連、市立船橋が佐賀東をねじ伏せる
貫禄勝ちといっていいだろう。選手権の常連、市立船橋(千葉)が4対1で3年ぶり11回目の佐賀東(佐賀)をねじ伏せた。 【日程結果】第99回全国高校サッカー選手権 前半途中までは小屋諒征(3年)や吉田陣平(2年)を軸にするテクニカルな佐賀東のサッカーにやや手間取っていたものの、要所を締めた市船が徐々にペースをつかんでいく。守備のキーマンであるキャプテンの石田侑資(3年)は「“きわ”の戦いで負けないことを意識した。そこで負けていたら、局面が大きく変わってしまうので」と、相手のよさをつぶしにかかった。 スコアが動いたのは40分だ。 「どんな相手でも初戦は難しい試合になる。だから、焦りはなかった。いつかくるチャンスをねらっていた」と振り返る左アウトサイドの木内拓海(3年)がネットを揺らし、大量得点の口火をきった。 後半すぐに畳み掛ける。 46分に坪谷至祐(2年)、49分に加藤想音(3年)がそれぞれ決めてリードを広げた。58分に鮮やかなミドル弾を小屋に叩き込まれたものの、77分に再び木内がトドメを刺し、堂々たる勝ちっぷり。 「0対0の時間が長くなれば、相手にプレッシャーがかかると思っていた。前半終了間際の失点は確かに痛かったけれど、それでも1点差なら想定内」と、佐賀東の蒲原晶昭監督は試合の推移を冷静に見つめていた。だが、警戒すべき後半開始の時間帯に立て続けに失点を食らい、「勝負どころでの差が出てしまった」と悔やむ。 12月上旬、学校内での新型コロナウイルスのクラスター発生によって活動休止を余儀なくされた市船。全体練習を再開できたのは選手権開幕のおよそ1週間前だった。「限られた時間のなかで、まずはコンディションを戻すことを考え、準備した」と波多秀吾監督が語れば、「自粛期間のときは気持ちが落ち込む選手もいたと思うけれど、選手権に出られることに感謝して、自分たちがやるべきことをしっかりやろうとチームがひとつになれた」とキャプテンの石田が言葉をつなぐ。 9年ぶり6回目の選手権制覇を目指す市船がさまざまな思いを背負いながら初戦を突破した。 (文・写真=小室功)