「ピエトロドレッシング」はなぜ福岡から全国区になれたのか~小さなレストランのおすそわけから始まった物語~
こんにちは。福岡在住ライターの大塚たくまです。 全国的に有名なピエトロのドレッシング(上の写真はもっとも基本となる「ピエトロドレッシング 和風しょうゆ、税込518円」)。玉ねぎの豊かな香りと、さまざまな野菜が入った和風ドレッシングでおいしいですよね。実はこれ、福岡にある一軒のレストランから生まれた商品なんです。 一軒のレストランから、どうして全国的に有名なドレッシングが生まれたの? 今回はピエトロドレッシングが全国的に有名になった理由と、今でも支持を集め続ける理由について、追求していきます。
──福岡県民にはおなじみの「洋麺屋ピエトロ」のお店ですが、1号店はいつ誕生したのでしょうか。 森澤さん:1号店は1980年12月、福岡市中央区天神で創業しました。開業当初はなかなかお客さんが来なかったそうです。スパゲティの専門店というのは、当時はまだ珍しかったんです。 ──もちろん、当時もスパゲティ自体はあったんですよね。 森澤さん:はい、スパゲティはありました。ただ当時はスパゲティといえば、ミートソースやナポリタンといった「赤いもの」が常識でした。麺も注文を受けてから茹でるのではなく、茹で置きの麺にソースを絡めるだけというお店が多かったようです。 ──「茹で置きの麺」ですか。それっておいしいんですか? 森澤さん:たとえるなら、給食に出ていた「ソフト麺」みたいな食感ですね。ああいったものが、スパゲティの主流だったようです。
──創業当時のピエトロではどういったスパゲティを提供していたのでしょうか。 森澤さん:「炊きたてのご飯に合うものは、茹でたてのスパゲティにも合う」というコンセプトで、ホワイトソースなどに加え、明太子や高菜、納豆などの食材をスパゲティに取り入れていました。創業者の村田邦彦※が、東京のスパゲティ専門店「壁の穴※」で茹でたてのスパゲティに感動したのがきっかけです。 ※壁の穴……東京都渋谷区にある和風スパゲティ発祥のお店 ※村田邦彦氏……ピエトロの創業者。2017年に逝去するまで社長在任