アメリカでワクチン接種に遅れ――なぜ? そして、対策は?
アメリカでは新型コロナウイルスのワクチン接種開始から1か月が経ち、接種を受けた人数がようやく1000万人を超えた。当初、2020年中に2000万人に接種することを目標としていたことと比べると、大幅に“遅いスピード”だ。なぜ、遅れが出ているのか?遅れへの対策とは?
■病院前に高齢者が長蛇の列
病院前の駐車場に高齢者が椅子を並べて一晩中待ち続ける…年末年始にそんな光景が見られたのは、南部フロリダ州。フロリダ州では、早い段階から65歳以上の高齢者を接種の対象としたため、多くの高齢者が押し寄せ、長時間外で待たざるを得なくなった。一方で、一部の病院では配布されたワクチンの2割以下しか実際に接種できていないという報告も出た。実は、接種開始から3週間で全米に約1540万回分のワクチンが供給されていたが、実際に接種を受けた人はそのうち456万人。3分の1以下に留まっていたのだ。
■なぜ接種進まない?
なぜ、供給されているのに接種は進まないのか?アメリカメディアはいくつか理由を挙げている。まずは、時期の問題。アメリカでのワクチン接種が始まったのは2020年12月14日。折しもその翌週からクリスマスや年末年始の休暇で多くの行政職員らが不在となったことで、接種のための準備が進まなかったのだ。 続いて、地域ごとにばらばらの対応。ワクチンの開発・供給の迅速化を目指す「ワープ・スピード作戦」により、連邦政府から各州にワクチンが届けられたが、その後の接種計画は地元任せとなっている。小さい行政単位では、ワクチンが到着しても接種する場所や人員を確保するための時間や予算が足りないといった問題が出ている所があるというのだ。 また、歯止めがきかない感染拡大も足かせとなっている。ワクチンの主な配送先となっているのは大規模な病院。こうした病院は、患者を多く受け入れ、接種するためのスタッフも、接種を受ける医療従事者も患者への対応に追われている。こうした中、接種に手が回らなくなっている、という問題も起きているのだ。